2015年10月31日 朝日新聞紙上で掲載。
帝国重工の宇宙航空部の調達グループ・石坂宗典部長は、佃製作所からロケットエンジンのバルブを仕入れている現状を変え、サヤマ製作所にバルブ制作を委託しようと画策していた。
“町工場”である佃製作所に特許申請で先を越され、なおかつその会社からバルブを調達していることは、大企業である帝国重工のプライドが傷つけているような行為であると石坂は考えていたのだった。
石坂は、「コンペで仕入先を決める」と表向きにはしていたが、サヤマ製作所とは共同開発を行っていたのだった。そんな中、佃製作所へ帝国重工・富山啓治から、「燃焼テストを前倒しでやってもらいたい」とリスケ(リスケジューリング)の連絡がくる。
リスケの理由としては、「サヤマ製作所が、割り当てていた試験日にバルブ納品を間に合わせることができないから」という、佃製作所の都合など丸っきり関係ないものだった。一週間の前倒しでは、評価試験の全てを行うことができなかった。
佃航平社長は、富山に連絡を行うが、富山は悪びれる様子もなく、スケジュールは変えられないという。再三に渡って佃製作所に嫌がらせをしてきた富山の仕打ちに、佃や山崎光彦 技術開発部長は苛立つ。
一方、ロケットエンジンだけでなく、医療機器開発を行う若手の立花洋介、加納アキらのチームも、疲労困憊の様子だった。
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