2015年11月1日 朝日新聞紙上で掲載。
佃製作所で、小児用の心臓人工弁の開発チームリーダー・立花洋介は、研究に目立った前進が見られないことに焦りや疲労を感じていた。生体適合性の問題はクリアされる見通しだったが、開閉時の工夫、手術時の操作性、血栓対策など様々な問題が山積していた。
佃製作所の社長・佃航平は、「スマートにやろうと思うな。泥臭くやれ」と、地道に理屈ではない部分で試作品を積み重ねていって研究をすべきであると立花に語りかける。
一方、同じく心臓人工弁の開発に携わる株式会社サクラダの社長・桜田章もまた、目立った成果が上げられず、親会社である桜田経編に、さらに5千万円の追加融資を依頼していた。
桜田経編の社長で弟の努は、既に8千万円もの資金をつぎ込んでいる心臓人工弁の開発に、さらに5千万円の追加融資を行うことに難色を示す。親会社の利益が、研究開発に食い潰されている現状に、社員たちから不満が出ているのだという。
さらに、章が心臓人工弁に携わるようになった、心臓弁膜症で亡くなった娘・結のことに触れ、努は兄に「PMDAで門前払いされたんだろ?(第7回参照)…人工弁開発に邁進したところで、結ちゃんが帰ってくるわけではない。今、兄貴はビジネスの本質を見失っている」と指摘するのだった。
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