2015年10月4日 朝日新聞紙上で掲載。
佃製作所を退社し、福井にある北陸医科大学の先端医療研究所の研究員となった真野賢作は、北陸医科大学の一村隼人教授を紹介し、心臓の人工弁の開発チームに加わって欲しいと提案する。
現在、人工弁は海外で生産されているものが大半であるため、日本の小児にとっては既存の物では大きすぎるのだという。そこで、子供用の人工弁を開発するプロジェクトへ、佃製作所に参加して欲しいのだと一村は依頼する。プロジェクトには、株式会社サクラダという編み物の会社も参加しているという。心臓弁は、バルブを含む開閉する金属と、周囲を囲む医療用の特殊繊維から構成されるのだという。
佃製作所には、「金属部分の、人工弁の弁葉とそれを収容するリングの芯となる部分を制作して欲しい」と真野は説明した。既に別会社が試作したが、血栓が形成してしまい、失敗。その会社は既に手を引いたのだという。
社内会議で検討したところ、開発費1億円、臨床試験1~2年、さらには医療事故が起きた際のリスクが高いことから、反対の声も聞かれた。殿村直弘経理部長はすでに下調べを始めており、「1個80~90万円で売れる」と試算するのだった。
価格:1,620円 |
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