宿野かほる「はるか」あらすじ・ネタバレ・結末

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10歳の村瀬賢人は、メノウのジオードという鉱石を海岸で探していた。探してもなかなか見つからなかったが、そんな彼に、同じ年の掛橋はるかが声をかける。彼女は東京から夏休みを利用して遊びにきているのだという。

はるかは、賢人に「この石じゃない?」と言い、いとも簡単に見つけ出す。そのことがきっかけで、はるかと賢人は仲良くなる。だが、連絡先を交換することもなく、その2年後、再び彼らは偶然に海で再会する。賢人は、ジオードを大切に保管し、はるかのことを思っていた。

はるかは父親の仕事の都合でアメリカに行くことになっていた。そこで2人は「7年後、ここでまた会おう」と言い、はるかが見つけたジオードを彼女に渡すのだった。

文通でやりとりしようということになったのだが、賢人からの手紙は母親によってはるかに渡されることはなかった。そこから7年後、賢人ははるかと再会する予定だった場所へと向かうが、すでにはるかはいなくなっており、そこにははるかの別れのメッセージが書かれたジオードが置かれていた。

賢人は大学を卒業し、電機メーカーに就職した。専門は人工知能であり、賢人はプログラマーとして目覚ましい業績を上げていた。

その後、書店の鉱石展示会に行くと、そこで偶然、はるかと再会するのだった。2人は会えなかった日々を埋めるかのように一緒の時間を過ごし、結婚する。賢人は、はるかの話している内容、彼女が弾くピアノなどの音声、はるかの写真などを次々に記録していた。だが、幸せな日々は長くは続かず、1年ではるかは交通事故により亡くなってしまう。

賢人は悲しみに暮れていた。そんな中、秘書である立石優美と親しくなり、ついには再婚するのだった。その後、賢人は独立し、立ち上げた会社の副社長に優美は就任した。

賢人は、新会社で私費も投じ、はるかの人工知能「HAL-CA」を研究・開発しようと決意する。はるかの生い立ちや膨大な音声データ、写真、動画などを分析し、はるかを人工知能として「蘇らせよう」とするのだった。

7人のプログラマーによる開発チームが編成され、HAL-CAの開発が行われ、ついに完成する。賢人はホログラム映像付きのHAL-CAと話をしているうちに、彼女が優美に敵意を向けるといったこともあり、戸惑う部分もあったが、次第に蘇った「はるか」へと、寝食を忘れてのめり込んでいく。

そんな中、HAL-CAは賢人に「優美さんと別れて」と迫る。賢人は、最初は取り合わなかったのだが、次第にHAL-CAにより翻弄され、ついには優美に離婚して欲しいと言う。優美は離婚を拒否し、「裁判になり、長引くかもしれない」と言う賢人にHAL-CAは、「じゃあ、優美さんを殺して」と迫る。

さすがに賢人も耳を疑うが、そんな彼にHAL-CAは「優美さんは会社の部下、伊吹さんと不倫している」と言うのだった。さらには、「私を交通事故で殺した男は、優美さんのいとこ」「優美さんは伊吹さんと、会社を乗っ取ろうとしている」などと吹き込み、振り回され、疲弊していた賢人は信じ込んでしまう。

だが、HAL-CAは優美にメールをしており、優美が本当に賢人のことを愛しているのだと悟り、自分こそが邪魔な存在で「蘇る」べきではなかったと考える。そして、自らのプログラムを消去した上で、送信予約したメールを賢人に送るのだった。

HAL-CAはメールで、「わたしが優美さんについて話した内容はすべて嘘です」と明かして謝罪する。そして、「わたしがいなくなっても悲しまないでください。わたしは単なるプログラムで、機械です。心があるように思うのは錯覚です」などと書くのだった。

さらには、「優美さんをしあわせにしてあげてください」という一文の後、「最後に、賢人との思い出の水入りメノウはわたしにくださいね」と書かれていた。賢人はすぐさま「はるかと会っていた」部屋に戻るのだが、そこにあったはずのメノウのジオードが消えていたのだった。

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