依頼人・岡崎琢巳は、乳腺外科医・野中耕作の殺害を折壁嵩男に依頼する。野中医師は、岡崎の妹・真帆の兄だった。
野中医師は、初期の乳癌と診断された真帆の治療を行う際、彼女の母・祖母が若くして乳癌で亡くなっていたため、その家族歴から非定型乳房切除術を受けさせ、さらには抗がん剤治療を行った。
嘔気など激しい副作用が現れる中、真帆は野中医師の治療に疑問を抱く。転院も考えていたが、野中医師は症例の一つとして真帆を手放したくなかった。そんな中、真帆は自殺を考えるようになり、ついに病院の中庭へと身を投げ、自殺したのだった。
岡崎は野中に強い恨みをもち、真帆と同じ苦しみを味合わせてから殺害することを希望する。野中は折壁の後輩であったが、依頼を受けることにする。
折壁は野中を拉致し、山中の小屋に運び、無麻酔でハルステッド法(胸筋合併乳房切除術)を行う。その後、抗がん剤を投与するのだった。吐き気に苦しみ、髪も抜けて衰弱する野中の前に、折壁は岡崎を連れていく。
そこで野中は「乳房再建術を受けても、愛する男に『そんなことをしても受け入れるわけにはいかない』と言われた、と彼女が言っていた」と言い、自分の治療のせいで真帆が自殺したのではない、と抗弁するのだった。岡崎は、野中の言葉を遮るようにして折壁に殺害を依頼し、折壁は抗がん剤を一気に流し込み、殺害するのだった。
その後、折壁は岡崎に妹の真帆とはちのつながりがないという事実を突きつける。真帆が恋愛感情を抱いていたのは、義兄である岡崎だった。乳房再建術を受けるという真帆に、岡崎は「そんなことやるな。どこまでいってもお前は妹なんだから」と言ったのだという。結果、真帆は自殺を選んでしまったのだった。
野中は失踪したこととなっている中、新たな事実が発覚する。野中は、折壁の元恋人・梶睦子と入籍し、さらに睦子は双子を妊娠していたのだった。その事実を弁護士・横倉義實から聞かされ、折壁は愕然とするのだった。