簡単なあらすじ
「初めまして、今日子さん……忘却」
1) 更科研究所・笑井(えみい)航路室長のバックアップデータが入ったSDカードが紛失するという事件が発生する。疑われた”僕”こと隠館厄介(かくしだてやくすけ)は、事件解決のため、置手紙探偵事務所・掟上今日子を呼ぶ。
2) 掟上は、「SDカードはポットの中にある」と嘘をつき、他の人たちと異なり、自分のデスクを見ていた岐阜部ながめ研究員を犯人と断定する。
3) 岐阜部は、バックアップデータの入ってSDカードに、偽装データを入れ、さらにバックアップデータを削除した。こうすることで、後々、バックアップデータを復元ソフトで復元できるようにしていたのだった。
4) 岐阜部は、大企業にバックアップデータを売却する目的でSDカードを盗んだのだった。笑井室長もまた、騒動の責任をとらされ、ペナルティを受けることとなった。
起:笑井研究室でのSDカード紛失事件
更科研究所・笑井(えみい)航路室長のバックアップデータが入ったSDカードが紛失し、彼は「動くな!この中に泥棒がいる」と、内部犯による仕業ではないかと考えていた。機密文書であるため、外部へのデータ流出ともなれば、一大事だった。そのため、笑井室長はバックアップデータと言えど、大騒ぎしていたのだった。
“容疑者”となりうるのは、百合根結子副室長、誉田英知研究員、岐阜部ながめ研究員、そして新入りの”僕”・隠館厄介(かくしだてやくすけ)だった。そこで、隠館が真っ先に疑われることになってしまい、困った隠館は「探偵を呼ばせてください」と言うのであった。
隠館は、数多くの事件に巻き込まれてしまい、そのたびに容疑者と怪しまれてきた。そんな彼は、置手紙探偵事務所・掟上今日子に依頼し、事件解決を依頼する。掟上には、同様に事件解決を依頼してきたが、掟上は隠館のことを覚えていなかった。何故なら、一晩寝てしまえば、掟上はその日あったことを全て忘れてしまうのだった。
承:見つからないSDカード
全員のボディチェックが行われるが、SDカードは出て来ない。掟上は、1人1人と面談を行い、事情聴取を行うのだった。その中で、笑井研究室では、立体視(3D技術)の研究を行っているのだと隠館は掟上に説明する。
さらに、全員のSDカードを調べるが、そこにバックアップデータは入っていなかった。その調査を終えた後、掟上は眠ってしまい、それまでの調査結果の内容をすっかり忘れてしまうのだった。
改めて、隠館に今ままでの概要を説明してもらうと、そのように唐突に寝てしまうのはおかしい、と掟上は「眠ってしまうと私が無力化してしまうのを知っている誰かに、一服盛られたのではないか」と考える。
転:犯人の偽装工作
「ミステリーでは、探偵に手を出すのは反則。向こうが反則を使うなら、こちらも反則を使う」という掟上は、事件解決を隠館に宣言する。全員を集めた上で、「SDカードはポットの熱湯の中」と告げると、岐阜部ながめだけが自分の机を見ていた。そのことから、掟上は岐阜部が犯人であると断定する。
実は、ポットの中にあるというのは嘘だった。SDカードの無事を確認するため、岐阜部はつい、SDカードのありかを見てしまっていたのだった。
岐阜部は、バックアップデータの入ったSDカードに、偽装データを入れ、その後、バックアップデータを削除した。こうすることで偽装し、なおかつ後でデータ復元ソフトで復元を行えば、バックアップデータを得ることができるのだった。
結:動機
岐阜部は、大企業にそのデータを売るつもりだったという。また、片目の視力を失いそうな母親のため、大企業で立体視の技術を早く商業利用してもらい、視力のある内に立体視を楽しんでもらいたい、と思ったのだと語った。
事件は会社内で内々に処理され、笑井室長もまた、騒動を起こしたということでペナルティを受けることとなった。