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横山秀夫「影踏み 遺言」あらすじ・ネタバレ

   

黛明夫は2月15日に亡くなった。盗っ人狩りに遭い、頭蓋骨陥没骨折を負って死亡したのだった。だが、病院に搬送された直後、黛は「真壁を呼んでくれ」と言ったのだという。

真壁修一は、病院を訪れ、黛がメッセージとして遺したのいう、「ウライタ、カマ、アイチャン、ドウカツ、ナカヌキ、ウキス、ナミヒキ、ハコシ、バンカハズシ、ハボク、スギモト」といった言葉を知らされる。

病院の経理・綾瀬は、治療費の支払い請求ができないことで困っていた。「ウライタというのは、金の隠し場所のことだ」と真壁は明かす。真壁は、「黛は、自分が死ぬとわかっていて、後始末のためにカネを俺に託したのではないか」と考え、綾瀬をともなって部屋に向かおうとする。

真壁は、黛の遺したメッセージが、ほとんどスリ用語であることに気づく。「スギモト」に関しては、杉本克彦という凄腕のスリであると考えていた。

綾瀬をともない、大家に言って部屋に入る。そこで、バスタブの中の給湯口に手を伸ばすと、そこにはビニールに入った万札が入っていた。また、泥棒の成果をかいた日記が出てきた。そこに書かれた電話番号を真壁は記憶する。

綾瀬は、医療費回収をしようとしたが、大家は「5か月分の家賃を払ってください」と詰め寄り、小競り合いになる。真壁は、綾瀬に家賃を払わせ、「医療費は、襲った奴からとればいい」と言う。そして、暴力団組織「博磁会」に一緒に行き、「黛が死んだ」と告げるのだった。御影は、医療費を「お安い御用だが・・・少しばかり待てるか?5年かあるいは10年」と言う。

真壁は、「雁谷署に寄ってから帰る」と言う。「ガサ礼状をとる口実になる」と脅すと、御影は医療費を払うのだった。その帰り、黛の日記に書かれていた電話番号にかける。電話に出た中年女に、「杉本克彦はいるか?」と訊ねる。そこで、杉本は一昨日に逮捕されたのだと知る。

もう一つの番号は、県立老年病院ふたご岳荘のものだった。そこに、黛という苗字の入所者はいなかった。真壁は、雁谷署を訪れ、留置場の杉本の情報を得るため、スリ係の美濃部刑事に会いに行く。そこで、黛の父親が、黛が20歳のときに蒸発したと聞かされる。現在、父親は80歳近くだという。さらに、黛は母親が自殺してしまい、自動養護施設を出たり入ったりする境遇だったという。

その帰り道、博磁会の大男が尾行しているのに気づく。そこで、真壁は交番近くでわざと挙動不審な様子を見せる。杉本克彦と同じ房に拘留された真壁は、杉本に黛の死を告げる。黛の父・耕三郎は一度もスリで捕まったことはなかったが、ヤクザ相手にスリを働き、見咎められて指をつぶされてしまったのだという。

その後、黛がデビューしたのと同時に、父親は消えたのだという。父親は脳梗塞で右半身の麻痺がみられており、ふたご岳という老年病院に置き去りにしたのだった。

耕三郎は、身元不明であったため「岳山一郎」と仮名がつけられていた。そんな彼に、「明夫が死んだ」と告げる。耕三郎は、無反応であったが、折り紙で鶴を折り続けていた。その数は約2,700羽近くに到達していた。1日1羽折り続け、息子が迎えにくる日を待ち続けていたのだった。

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