映画『グレイマン』でシックスが左腕に入れているタトゥー「シーシュポス」の意味とは

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映画『グレイマン』で、シックスはフィッツロイの姪・クレアを護衛するよう命じられます。そのクレアに、シックスは「素敵なタトゥー。なんて意味?その文字」と質問されます。

するとシックスは、「人名だよ。ギリシャ語さ…山に岩を運んだ男だ。神々から命じられて。…多分罰だろう」と答えます。

シーシュポス

ギリシャ神話に、シーシュポスという人物が登場します。彼は、ゼウスがアイギーナという女性を誘拐した時、アイギーナの父親であるアーソーポスに娘の行方を告げ口したとされます。

また、兄弟に嫉妬し、「姪と交わって子供をもうければ、その子供たちが恨みを晴らしてくれるだろう」という神託の通り、姪であるテューローを誘惑して復讐しようとします。結果、テューローはシーシュポスの真意に気づき、彼との間にできた子供を殺害してしまいます。

シーシュポスの岩

シーシュポスはゼウスの命令で連行されそうになるが、死神であるタナトスを騙して逃げ、さらには冥府に連行されても「まだ自分の葬儀が終わっていないから」と現世に戻って居座り続けようとしました。

この辺、幾度となくピンチを切り抜け続ける点が、シックスと似ているなぁと私は思いました(笑)

ですがついにシーシュポスは連行され、「タルタロスで巨大な岩を山頂まで上げよ」と命じられます。何度となく彼は岩を運びますが、そのたびに頂上付近で底まで落ちてしまい、延々とその行為を繰り返させられてしまいます。

「シーシュポスの岩」の結末

シックスはクレアに、「ねぇ、頂上まで運べた?」と質問されますが、「今度、教える」とだけ言って結末については伝えていません。

というのも、「シーシュポスの岩」は「賽の河原」と同様、果てしない徒労を意味します。つまりは結末としては、「終わりがない苦行を繰り返させられてしまう」ということになるわけです。

「シーシュポス」の入れ墨の意味

シックスは、なぜ「シーシュポス」の名前を入れ墨として腕に入れたのでしょうか?そもそも彼は、父親から兄弟ともども「教育」として虐待を受けており、弟の命を守るために父親を射殺しました。

ですが、結果として刑務所に収監されてしまいます。そのことについて彼は、「親父は、マッチョな自分に酔ってた。だから熱心に、俺と弟も同じように鍛えようとした。だが残念ながらやり方が異常でね。次第に弟のことを激しく殴るようになった。どちらかが死ぬまで続きそうだった。だから、親父に死んでもらった。自分では立派だと思ったが、周囲は違いムショに入れられた」と語っています。

シックスは、弟を救うため、よかれと思った行動をとったところ、刑務所で服役(=徒労)させられてしまいました。そんな自身とシーシュポスとを重ね合せ、入れ墨を彫ったのではないかと思われます。

また、クレアには「刑務所で彫った」と言っていましたが、もしかしたらシックスとして暗殺活動を始めてから彫ったのかもしれません。出所の代わりに暗殺を続けるということ、そんな自身の境遇を、岩を運び続けるシーシュポスに重ねたのかもしれない、とも考えられます。

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