東野圭吾「沈黙のパレード」あらすじ・ネタバレ・結末[ガリレオシリーズ]

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蓮沼寛一が関わった二つの事件

女子高生の並木佐織が失踪した後、遺体となって発見される。発見場所は民家であり、近所で有名な「ゴミ屋敷」だった。その家で火災が起こり、家主の高齢女性とともに、佐織の遺体が発見されたのだった。

佐織の両親は飲食店「なみきや」を経営していた。彼らのもとにも佐織の死亡が伝えられる。一方、ゴミ屋敷の家主の女性と義理の親子である蓮沼寛一は、「本橋優奈殺人事件」の被疑者であった。ところが、蓮沼はその事件のときも否認と黙秘を続け、結果、裁判では無罪となった。

蓮沼が佐織殺害の犯人であることは間違いないと目されていたが、やはり否認と沈黙を続け、今回も不起訴処分となるのだった。彼女の父・並木祐太郎はその状況に憤る。そんな中、幼馴染で食品加工会社を営む戸島修作が声をかけ、完全犯罪を計画、実行に移そうと提案する。

2つの事件を担当していたのは、草薙俊平刑事だった。無念な草薙は、アメリカから帰国して教授となった湯川 学だった。湯川は、研究施設が近いという理由で、なみきやに通うようになる。

キクノ・ストーリー・パレードという仮装パレード祭りが行われる中、蓮沼が遺体となって発見される。外傷はなく、睡眠薬を飲んだ上、窒息死したと考えられた。発見されたのは増村栄治という元同僚の自宅であり、そこに蓮沼が間借りしていたのだった。

翻弄される警察

有力な被疑者と考えられた佐織の父・並木祐太郎、佐織の恋人だった高垣智也らにはアリバイがあった。また、事件現場の家主である増村栄治にもアリバイが存在していた。

湯川は、蓮沼を窒息死させた方法で、部屋にヘリウムガスを充満させたのではないかと仮説を立てる。実際、河原からはヘリウムガスの充填されたボンベが発見され、蓮沼の頭髪のついたビニール袋が発見された。

ビニール袋を頭からかぶせ、内部にヘリウムガスを入れる方法で窒息させられたのではないかと警察は考えるが、なぜそのような方法をとったのか疑問に思う。湯川はマットレスが濡れていた点などに着目し、液体窒素を部屋に流し込み、窒息死させたのではないか、ボンベはミスリードであると指摘する。

戸島が冷凍食品を扱っており、会社には液体窒素があった。だが、Nシステムによっても車で搬送された様子がなく、「どのように20Lの液体窒素を運んだのか」が次の疑問として浮上した。

湯川は、パレードで「重しのために宝箱の中に入れられた、水のペットボトルが液体窒素にすり替えられていたのではないか」と考える。その入れ替えに関与していたのは佐織の恋人であった高垣智也だった。高垣は戸島に言われ、すり替えと搬送を担当しており、事情聴取の中で自供する。

犯人の自供

関係者の事情聴取が行われる中、湯川の指摘により、それぞれが分担して事件に関与し、蓮沼を殺害したと考えられた。液体窒素を用意し、ミスリード目的でヘリウムガスの入ったボンベを盗み出して捨てたのは戸島、液体窒素を入れ替えて指定場所へ搬入したのは高垣、蓮沼に睡眠薬を飲ませて「外側から鍵をかけた」のは家主の増村栄治だった。増村は、蓮沼に殺害された本橋優奈の叔父であった。

一方、並木祐太郎の営む「なみきや」では、事件発生と同時間帯、客が体調不良を訴え、病院へと運び込む必要があった。そのため、祐太郎は事件に関与できなかったはずだった。

そんな中、佐織を歌手デビューさせようとしていた音楽プロデューサー・新倉直紀が自白する。妻・留美が精神的に追い詰められ、解放してやる必要があったと考えたためだった。

並木祐太郎が急病者対応で液体窒素を部屋へと注ぎ込むことができず、戸島は計画中止を連絡した。だが、新倉は「現場でのうのうと生きている蓮沼を見て、罰を与えてやりたいと思った。殺意はなく、自白させる目的だった」と警察に対し供述する。

隠されていた真相

湯川は、夫が逮捕された新倉留美に会いに行き、そこで事件のさらなる「真相」について話をする。

留美は、佐織をデビューさせようと必死になるがあまり、高垣の子を妊娠し、デビューを諦めるという佐織が許せなかった。そこで、つい佐織を突き飛ばしてしまい、彼女は地面に倒れて動かなくなってしまう。

殺害してしまったと思い、留美は逃げ出す。だが、それを蓮沼が目撃し、脅迫目的でその遺体を移動させたのだった。その後、「死体遺棄の時効」を迎えるまで待った後、実家に火を放って遺体を警察に発見させたのだった。

留美は脅迫され、金品や性的関係を強要された。そのことをついに夫・直紀に知られ、直紀は高垣らの計画に乗じて蓮沼殺害を決意する。本来は並木祐太郎が蓮沼のいる部屋へ液体窒素を流し込み、自白させる予定であったが、蓮沼に真相を話されてしまうことを恐れ、「なみきや」で雇った人物に急病人のふりをさせたのだった。新倉直紀は、蓮沼が目覚める間もなく全ての液体窒素を部屋へと流し込み、殺害したのだった。

湯川は、留美に「事件現場で拾った佐織のバレッタ」を見せてもらい、血痕がついていないことを確認する。そこで、「突き飛ばした時点では死亡していなかった可能性」を指摘する。遺体を運んでいる最中、目覚めた佐織を蓮沼が殺害した可能性があることを知り、留美は直紀とともに相談し、裁判で蓮沼の行った犯行の「真実」を明らかにしようとするのだった。

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