簡単なあらすじ
1) 女子高生の吉岡ハルは、トラックに轢かれそうになった猫を助ける。その猫は、実は猫の国のルーン王子だった。その晩、恩返しに猫の国の王様が一行を引き連れて、「お礼をする」と言う。
2) 猫たちは、猫じゃらしやマタタビ、ネズミなどを贈るが、ハルは当然ながら嬉しくない。そこで、秘書のナトルに、「猫の国へご招待します」と言われる。そして、半分猫の姿にされ、ハルは猫の国へと連れて行かれてしまう。
3) さらに、王様はハルをルーン王子の妻にしようとする。だが、ハルは断り、バロンの助けを借りて逃げ出す。混乱の中、ルーン王子は「私はユキちゃんと結婚します」と言う。ルーン王子は、トラックに轢かれそうになりながらもユキの好きなクッキーを手に入れ、ユキにプロポーズするのだった。
4) ルーン王子とユキの婚約を祝福し、ハルは人間の姿に戻る。バロンに恋をしたハルは想いを伝えるが、バロンは姿を消して、ハルも元の世界に戻る。ハルは、友人のひろみと映画を観にいき、変わらぬ日常を過ごすのだった。
起:猫を助けたハル
女子高生の吉岡ハルは、遅刻して担任教師に叱られてしまい、クラスメイトの前で恥をかいてしまう。しかも、片思い中の町田君にまで笑われてしまい、ショックを受ける。
放課後、ひろみと帰宅途中、ハルは小さな箱をくわえた猫を見かける。その猫は、道路を渡ろうとして、大型トラックに轢かれそうになる。それをハルは助け、猫に丁寧なお礼を言われる。その後、猫は二本足で立って去っていった。ハルは、猫を助けたことで、ラクロスのスティックを壊してしまう。
帰宅して、ハルは猫を助けたことを話す。すると、母親はハルが幼いときに同じようなことがあった、と言うのだった。ハルがお魚型のクッキーを食べていたところ、白い子猫が彼女の後を追ってきた。ハルは、猫に話しかけつつ、食べていたお菓子を渡したのだという。「どうしたの?」と母親が訊くと、「猫とお話してた」とハルは言ったのだった。
その晩、物音を聞いたハルは、道で猫の一行を見かける。猫王や、秘書のナトリ、ナトルたちがおり、ナトリはハルに「猫の国の王子を助けてくださったお礼に」と、お礼を渡すというのだった。
翌日、ハルが目を覚ますと、ドアの外に大量のラクロスのスティック、そして、家の回りに猫じゃらしなどが置かれていた。さらに、登校しようとすると、猫が追いかけてきて、さらには下駄箱のロッカーには、箱に入れられたネズミが入っていた。
放課後、ひろみの掃除当番を代わってもらうように頼まれ、ハルはゴミを捨てに行く。すると、そこに片思い中のクラスメイト・町田が、彼女と歩いているところを見てショックを受ける。
承:猫の国へ
秘書・ナトルがハルのところにやってくると、彼女は「私は猫じゃないから、猫じゃらしなんかは嬉しくない」と言う。彼女が怒っている様子であったため、ナトルは、「猫の国へご招待します」と言う。しかも、ナトルは「ルーン王子と結婚できるかもしれません」などと言う。
ショックを受けていたハルは、「猫の国もいいかもね」と言い、ナトルはその答えを「猫と結婚するのもいい」と言ったと受け取る。ナトルは、「今夜、迎えにきます」と言い、立ち去ってしまう。慌てたハルに、どこからともなく「ハルちゃん、猫の事務所よ。猫の事務所を探して。きっと助けてくれるわ。十字街で 白い大きな猫が、場所を教えてくれるから」という声が聞こえる。
ハルは白い猫を見つける。ハルは、白猫についていくと、「猫の事務所」にたどり着く。そこには、スーツを着た猫であるバロンと、彼の仲間の石像・トトがいた。そこで、白猫が「ムタ」という名前であると分かる。
ハルは、「猫の事務所を探して」という声が聞こえたと説明する。彼女は、バロンとムタとともに猫の国に行くことになるが、バロンは「自分を見失うんじゃない」と言う。
玄関をノックする音がして、ナトリたちが現れる。ハルは、彼らに連れ去られてしまう。ムタは追いかけるが、見失ってしまう。
転:バロンとの再会
ハルが目を覚ますと、猫の姿にされてしまっていた。そこで、ユキという白猫に会う。彼女は、ハルを導いた声の主であり、かつてハルが子供の頃に出会った白猫だった。
ハルは、王様に会い、彼は王子とハルの結婚を喜ぶ。ハルは「私は人で、王子は猫」と言うのだが、王様はハルが半分猫だから問題ない、と言う。怒るハルのため、王様はパーティーを開く。そこで、仮面をつけた貴公子をワルツを踊り、そこでハルは「自分を見失うんじゃない」と、前にバロンから言われた言葉をかけられる。
仮面の貴公子は、バロンだった。王様はバロンを捕らえようとするが、バロンはムタとともに応戦し、ハルと逃げる。秘密の通路を通り、迷路から抜け出す。
騒ぎを聞きつけたルーン王子が現れる。「ハルちゃんみたいな子がお嫁さんに来てくれたら、嬉しいかにゃーって」と王様は言うのだが、ルーン王子は「僕は このユキちゃんと結婚します」と宣言する。
そこでハルは、ユキがかつて会った白い子猫だった。ユキは、ハルがくれたクッキーが好きで、ルーン王子はプロポーズをすると同時に、ユキに「これから始まる僕らの暮らしの記念にこのクッキーを受け取ってくれるね」と言う。ルーン王子が人間界で口にくわえていたのは、そのクッキーの箱だった。ユキは、王子のプロポーズを受け、ハルは祝福する。
王様は、なおも「わしの妃にならんか?」と言うが、ハルは断る。そこで暴れだしたムタは、「湖の魚をすべて食い尽くし逃げた」という大事件を引き起こしたルナルド・ムーンという大犯罪猫であると判明する。
結:元の世界へ
ハルは逃げ回る中で人の姿に戻り、崩れ落ちようとする塔からバロンとともに飛び降り、カラスに姿を変えたトトに助けられる。
バロンのことを好きになったハルは、「バロン、私、あなたのことが好きになっちゃったかも」と言うが、「私も好きだよ。もし ハルが、本当に私達を必要としたならきっとまた猫の事務所の扉は開くだろう」と言い置いて、バロンは姿を消す。
ハルは翌朝、いつものように目を覚ます。ひろみと映画を見に行く約束をしており、出かけるハルは、町田が彼女と別れたとひろみに教えられるが、「別に、もういいのよ」と言う。