簡単なあらすじ
1) ニコラス “ニック”・ダン(ベン・アフレック)とその妻エイミー(ロザムンド)の夫婦関係は冷め切っていた。ニックの不倫を知るエイミーは、ニックに激しい怒りを覚え、「ニックが自分を殺害した」という偽装を自宅に施し、自ら失踪するのだった。
2) ニックは、エイミーの偽装工作によって警察に疑われる。さらには、不倫相手に浮気のことを暴露されてしまい、世間からの批判を受ける。窮地に陥ったニックは、タナー・ボルト(タイラー・ペリー)弁護士に相談し、エイミーの行方を捜し始める。
3) エイミーは、行方をくらまし続けることを考えていたが、生活資金を知人の男女に奪われてしまう。しかたなくエイミーは、学生時代に自らのストーカーだった男トミー・オハラ(スクート・マクネイリー)を頼る。だが、ニックの出演した番組でのインタビューで、「君を愛している」と語る様子を見て、エイミーはニックのもとへと帰ることを考える。
4) エイミーは、トミーを殺害し、「トミーに監禁され、乱暴され続けていた。隙をついて彼を殺して戻ってきた」と警察に証言する。ニックは、エイミーと別れたいと考えていたが、「ここで離婚したら、あなたは世間の批判にさらされる」と言われ、夫婦生活を続けざるを得なかった。さらに、エイミーはニックの不妊検査のために提出した精液サンプルを使用し、体外受精により妊娠していた。ニックは、エイミーと離れたいと思いつつも、子供のために別れることがますますできなくなってしまう。自分の胸に頭を乗せるエイミーを見ながら、ニックは「彼女は何を考えているのだろう?」と疑問に思うのだった。
起:夫婦の亀裂
ニコラス “ニック”・ダン(ベン・アフレック)は、妻エイミー(ロザムンド)の頭を胸の上に乗せていた。そして、「彼女は何を考えているのだろうか?頭蓋骨を割り、脳を取り出して知りたい」と考えていた。
ニックは、パーティーでエイミーに出会った。エイミーは、ハーバード大を卒業し、知性に溢れる女性だった。彼女の両親は、エイミーをモデルに『アメイジング・エイミー』という書籍を出版していた。その本のファンは多く、エイミーを知る者も多かった。だが、エイミー自身は、本の登場人物であるエイミーと、自分自身とのギャップにうんざりとしていた。
エイミーに声をかけたニックは、そこから彼女と交際するようになり、結婚することとなった。順調そのものと思えた結婚だったが、出版不況もあり、夫婦は互いに職を失ってしまう。さらには、ニックの母親が末期乳癌となり、ニューヨークからニックの地元のミズーリへと引っ越すことになったこととなった。エイミーは望んだ引越しであったわけでもなく、ニックから相談を事前に受けていなかったこともあり、夫婦関係は次第にすれ違っていく。
また、ニックは大学でライティングを教えており、教え子である19歳の大学生と不倫関係にあった。バーから出てきたニックが、その教え子にまるで自分としたように雪を払ってキスしたことに、エイミーは激しい憤りを覚える。
このこともあり、エイミーはニックに対して復讐を果たそうと考えるようになる。一方で、ニックも離婚をエイミーとの結婚に息苦しさを覚えるようになり、5回目の結婚記念日、エイミーに離婚を切り出そうと考えていた。そんなとき、エイミーはニックに「お気に入りの川沿いに行って、1人で結婚について考えてみてはどう?」と提案するのだった。エイミーはそこに本を読みに行き、そして双子の妹マーゴ・ダン(キャリー・クーン)と一緒に経営するバー「THE BAR」へと行き、エイミーのことを愚痴るのだった。
承:エイミーの失踪
ニックの携帯電話が鳴る。飼い猫が外に出ている、と連絡を受けて帰宅する。ニックが自宅に戻ると、椅子やテーブルがひっくり返されているのを見かける。そして、エイミーは家からいなくなっていた。ニックは、エイミーがなんらかの事件に巻き込まれて失踪したと考え、警察に通報するのだった。
ロンダ・ボニー刑事(キム・ディケンズ)がニックの家を訪れ、不可解な点を発見する。7月に暖炉を使用した形跡や、テーブルがひっくりかえっており争った形跡があるのに、写真立てが倒れていなかった。さらには、キッチンの高いところに血痕が見られていたのだった。
結婚記念日には、ヒントを辿っていって「宝探し」をするというエイミーは、家に「ヒント1」と書かれた手紙を置いていた。そのヒントの示す場所は、大学のオフィスであると考えられた。そこで、ニックは教え子と行為に及んでいた。その場所で赤いパンティーが発見されたことで、ニックは動揺する。
オフィスには「ヒント2」が置かれていた。その場所が次にどこを指し示しているのか、ニックは知っていたが、刑事と一緒に回るのはまずいと考え、「次の場所は分からない」と言い、1人で父親の住んでいた家を訪れる。
そこで、ニックはセキュリティアラームを解除しようとするが、入力すべき番号が変えられていたのか、解除することができなかった。警備員が駆けつける中、ニックの尾行をしていたボニー刑事が現れる。
ニックはその家で「ヒント3」を発見するが、今度はそれがどこを示すのか分からなかった。一方、エイミーの両親は、記者会見を開き、彼女の行方についての情報を求める。エイミーの横に並ぶニックは、記者に「笑って」と言われ、応じてしまう。また、エイミーを探すための集会で、ニックは女性にツーショット写真を撮られてしまう。これらの写真により、「妻が失踪しているのに・・・」とテレビ番組で批判されてしまう。
自宅ではエイミーの行方を捜すための警察による捜索が行われており、ニックは妹のマーゴの家に寝泊りしていた。そこに、ニックの愛人であるアンディ・フィッツジェラルド(エミリー・ラタコウスキー)がやってきてしまう、。ニックは帰そうとするが、請われてニックはアンディ彼女を抱いてしまい、翌朝、マーゴに呆れられてしまう。
エイミーの集会で、ニックはスピーチを行う。だが、その中の1人である、エイミーの友人であるという女性が、「彼女は妊娠6週間だったのよ!知っていたの?」と言う。彼女は、ニックがエイミーに暴力をふるっていたと信じていた。
マーゴは、ニックにエイミーの妊娠について問いただす。ニックは、「彼女は子供を望んでいなかったんだ。俺は欲しくて、不妊治療を受けにクリニックにも行った。だけど、彼女は『もういいの』と言い、精液サンプルを処分するという手紙も、そのまま捨てた」と言う。
ボニー刑事は、ニックの自宅キッチンの床で、大量の血液をふき取ったような痕があるのを発見する。このことから、ボニー刑事は、ニックに事情聴取を行う。高額なテレビ、ゴルフクラブなどが購入されており、さらにはエイミーの生命保険の掛け金を引き上げたこと、そしてエイミーは受診して妊娠が確定していたことを示し、ニックを追求するが、彼は「買い物に身に覚えはない。ゴルフもやらないんだ。生命保険も、彼女が言い出したことだ」と否定する。
ボニー刑事は、エイミーが麻薬の売人から銃を手に入れようとしていたことを知る。さらには、ニックの父親の家に行き、そこで焼いて途中でやめたようなエイミーの日記を見つける。その中には、ニックとエイミーはすれ違い、さらにはニックから突き飛ばされて恐怖を覚えたこと、暴力がエスカレートするのを恐れ、銃を手に入れようとしていたことが書かれていた。
ニックは、第3のヒントで、マーゴの薪小屋に何かが隠されていると考える。そこには、ボニー刑事に指摘された高額な商品が積まれていた。そして、その中央にはパンチとジュディ人形(マザーグースの一遍であり、パンチが赤ん坊を放り投げ、ジュディを棍棒で殴り倒すというシーンがある)が置かれていた。ニックは、マーゴに人形を見せ、「自分がエイミーを殺したように見せ、彼女は自分に罪を着せようとしている」のではないか、と告げる。
転:エイミーの策略
エイミーは、あえてニックをお気に入りの場所に散歩に行かせ、アリバイを失わせる。そこから、家に争ったような痕跡を作り出す。大量の血液を床にこぼし、ふき取った。さらには、殴られて出血したかのように、キッチンの上のほうに血液を飛ばした。そして、薪小屋に高額商品を置き、日記をあえて少し焼いて義父の家に残しておいたのだった。
妊娠反応は、近所の妊婦を家に招き、「トイレが壊れている」と流させないようにし、妊婦の尿を手に入れることで偽装した。クリニックを受診し、その尿を提出したことにより「妊娠している」と診断されたのだった。また、近所で友人を作り、彼らに「夫の暴力に悩んでいる」と吹き込んでいた。
彼女は偽装を終えると、個人売買で手に入れたクルマに乗り、離れたリゾート地へと向かう。そのキャンプ場で身を潜めて暮らしていた。ジャンクフードで増量し、髪を切って染めた。サングラスをかけていても怪しまれないように、ハンマーで顔を叩いて怪我を負った。
エイミーは、最終的に川へ身を投げて自殺しようと考えていた。だが、「なんで私が死ななければならないの?」と、自殺を思いとどまるのだった。そこで、隣のログハウスに住む女性グレタと知り合う。
エイミーは、生活するための資金を持っていた。彼女はその現金を肌身離さずもっていた。だが、ゴルフでカップインしたところ喜んで跳ね、その結果、大金を持っているのをグレタに知られてしまう。そして、そのキャンプ場を離れようとした日、グレタと知り合いの男ジェフにその現金を奪われてしまう。
生活資金を失い、エイミーはクルマで寝泊りせざるを得なかった。彼女は仕方なく、学生時代にストーキングされ、現在も手紙を書いてよこしてきている男トミー・オハラ(スクート・マクネイリー)に連絡をとる。
一方、ニックはタナー・ボルト(タイラー・ペリー)弁護士に連絡をとり、そこでエイミーに罠にはめられそうになっている、と相談する。タナー弁護士は、「以前にも同様に、彼女にハメられた人物がいないか調べ、連絡をとれ」とアドバイスする。ニックは、彼女に「レイプされた」と訴えられたトミーに会う。トミーは、別れを切り出したところ、罠にハメられてしまったのだった。また、ニックはトミーにも会いに行くが、トミーはニックの話に不快感を示し、家にも入れてはくれなかった。
トミーは、エイミーから呼ばれ、彼女を迎えに行く。そこで、エイミーは「ニックに暴力を振るわれていた」と言い、同情を買う。そして、トミーはその話を信じ、エイミーを湖畔の別荘に住まわせるのだった。
タナー弁護士は、ニックの愛人・アンディが不倫を告白する前に、「先に番組に出て、告白しろ」とニックに提案する。その話は進んでいたのだが、アンディは先んじて不倫を告白し、謝罪する。タナー弁護士は、「延期しよう」と言うが、ニックはインタビューを受ける。そこで、浮気を認めながらも、ニックは「エイミーのことを今でも愛している」と訴えるのだった。この結果、ネットではニックに同情するコメントが見られるようになっていた。
番組を観ていたエイミーは、ニックのもとに帰ろうと考える。一方、ニックは警察に逮捕される。薪小屋のテレビやゴルフクラブも発見され、マーゴもまた、共犯であると考えられ、逮捕されてしまう。だが、タナー弁護士により、彼らはすぐに釈放される。
結:エイミーの帰還
エイミーは、ワインボトルを使って、トミーに暴行された傷を偽装する。そして、自らを縛り、「ベッドに縛りつけられていた」痕をつける。さらに、トミーをベッドに誘い、彼に抱かれる。彼が果てそうになった瞬間、エイミーは枕の下に隠していたカッターで、トミーの首を裂く。血に塗れたエイミーは、そのままでクルマにのり、ニックのもとへと帰る。
ニックは、戻ってきたエイミーを抱え、耳元で「クソ女が」とののしりながらも、マスコミの前で心配するそぶりを見せる。病院で、エイミーは医師の診察を受け、刑事たちに事情を聞かれた彼女は、「トミーに監禁され、乱暴され続けていました。隙を縫って彼の首を切って、戻ってきたのです」と涙ながらに証言する。
そんな中、エイミーのことを疑うボニー刑事は、彼女の証言の矛盾点を疑って追及する。だが、エイミーは体調不良を理由に、誤魔化すのだった。エイミーは、ニックと自宅に戻り、ニックに何があったのかを訊かれる。エイミーは、ニックが盗聴器を持っていないか疑い、シャワールームでシャワーを浴びつつ、「彼を殺して戻ってきたの」と言う。
ニックは、「君とは別れる。出て行く」と言うが、エイミーは「今、別れるのは得策ではないわ。あなたは世間に批判される」と言い、ニックは寝室を別にし、一緒に暮らさざるを得なかった。ニックはその後、ボニー刑事に相談を行うが、「捜査は終了したの」と言われてしまう。
ニックとエイミーは、番組でインタビューを受けることとなった。エイミーは、ドレスに着替える最中、ニックに「プレゼントよ、開けて」と言い、小箱を開けるように言う。その中には、妊娠検査薬が入れられており、陽性を示していた。
エイミーは、ニックが不妊検査の際に保存していた精液を使い、妊娠していたのだった。「サンプルを破棄するという書類を、君は捨てていたじゃないか」と言うが、「手紙を捨てただけよ」とエイミーは言う。さらに、親子鑑定のため、血液検査をニックは要求するが、エイミーは「どうぞ」と余裕の表情を崩そうとはしなかった。
ニックは、エイミーの頭を壁に叩きつけて怒りをぶつけるが、彼女は「これがあなたの愛した女よ」と言い、悪びれるようすもなかった。
インタビューが始まり、ニックは「彼女は妊娠している。父親になるんです」と微笑んで言う。エイミーも、インタビュアーとともに抱き合いながら喜ぶ。だが、ニックの内心は異なっていた。マーゴに、エイミーが妊娠したことを告げ、「エイミーから離れたいにも関わらず、子供がいるため、別れることはできず、一緒に暮らすことを選んだ」のだと複雑な心境を語るのだった。
ニックは、エイミーの頭を胸の上に乗せていた。そして、「彼女は何を考えているのだろうか?」と疑問に思うのだった。