2015年10月25日 朝日新聞紙上で掲載。
帝国重工の宇宙航空部の調達グループ・石坂宗典は、富山啓治とともに、サヤマ製作所の工場を視察していた。
石坂は、佃製作所に肩入れする帝国重工・財前道生とは異なり、サヤマ製作所にロケットエンジンのバルブシステムを、サヤマ製作所に共同開発をすることを提案した。帝国重工は元々、自社開発を進めていたが、佃製作所に先を越され、特許申請ができなかったという過去があった。
帝国重工は、佃製作所からバルブシステムを仕入れることになっていたが、石坂は入札制にして、サヤマ製作所と手を組むことを画策していたのだった。石坂や富山らは、自社製品でロケット部品は用意すべきと考えており、キーテクノロジーの開発を”町工場”に先んじられてしまっていることで、プライドが傷つけられたようだ。
サヤマ製作所の椎名直之社長は、NASAの研究者出身であり、先進的な工場施設を所有していた。そのサヤマ製作所に、石坂は「現行製品も含め、共同開発をする」と提案し、椎名社長を説得したのだった。
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