簡単なあらすじ
1) 佃製作所が、ナカシマ工業の卑劣な特許侵害訴訟で、窮地に立たされている中、大企業・帝国重工の財前道生(吉川晃司)に、「20億円でロケットエンジンのバルブシステムに関する特許を売って欲しい」と提案される。
2) 裁判が続く中、資金繰りが厳しい佃製作所は、20億円は喉から手が出るほど欲しい金だったが、手塩にかけて開発した技術を売却することを、佃航平(阿部寛)は悩んでいた。
3) 裁判は、佃が証人喚問で呼ばれたことで流れが変わる。佃は、技術者として、技術開発について熱意を持って語り、田端裁判官の心証を一気に変えることに成功する。結果、佃製作所に有利な和解勧告が下され、56億円もの和解金を得ることになる。
4) ナカシマ工業の中小企業買収を目的とした特許訴訟が、毎朝新聞の記者の取材により記事となり、ナカシマ工業の訴訟担当者・三田公康はすぐさま訴訟を中止するよう上司に言われ、処分されることとなった。
起:帝国重工の申し出
佃製作所は、ナカシマ工業の卑劣な特許侵害訴訟で、窮地に立たされていた。だが、その中で佃航平(阿部寛)は、神谷修一弁護士(恵俊彰)の提案で、ナカシマ工業を逆提訴することになる。
だが、この逆提訴は諸刃の剣だった。2つの訴訟を抱えるということは、それだけ裁判費用がかさみ、さらには敗訴する可能性もあった。
相も変わらず、ナカシマ工業側の中川京一弁護士(池畑慎之介)は裁判を長続きさせ、”兵糧攻め”させようとする。また、大企業擁護派の田端裁判長が公判を受け持つこととなり、佃製作所に逆風が吹き始めていた。
そんな中、大企業・帝国重工の財前道生(吉川晃司)と富山敬治(新井浩文)が佃製作所に訪問してきた。「ロケットエンジンのキーテクノロジーであるバルブシステムの特許を売っていただきたい」と財前は切り出す。
さらに、「御社のような中小企業で、特許を製品に活かす方法はあるのですか?」と、言われ、さらに売却に20億円を提示される。だが、佃は「手塩にかけて開発した技術に愛着もある。容易く売れるもんじゃない」と売却に難色を示す。
自社でのロケット開発で、内製化を進める帝国重工は、専用実施権での使用契約も認められないと言い、あくまでも特許を買い取る方法しかない、と財前は言うのだった。
一度、社内で検討してもらいたいという財前に、佃は1週間の猶予をもらい、検討することとなった。ナカシマ工業との訴訟のこともあり、喉から手が出るほど欲しい20億円だったが、技術を売ってしまうことを佃は躊躇っていた。
承:苦悩する佃
社内での会議が行われ、売却を進めるべきという意見が多い中、経理部長の殿村直弘(立川談春)は「20億円では安すぎる。帝国重工は、100億円を投じている。それくらいの価値がある」と言う。さらに、山崎光彦(安田顕)は、「これから製品への転用の可能性があり、主力製品となるかもしれない。ここで特許を売るべきではない」と、売却に反対するのだった。
悩む佃は、自宅でも考え続けていた。そんな中、娘の利菜(土屋太鳳)が、右手を痛めて、それまで頑張ってきたバトミントンが続けられないことが判明する。利菜は、「お父さんに言ったって治るわけじゃないし。仕事忙しそうだったから」と、打ち明けなかった理由を話す。
ついに結論を出した佃は財前に連絡し、「まだ、社内の意見統一ができていません。特許使用契約の道を考えてください」と提案するが、財前はあくまでも「売却していただきたい」と告げる。
「それならば、特許の売却を見送る可能性がある」と言う佃に、財前は「使用契約を検討しますが…」と言うが、宇宙航空部本部長・水原重治(木下ほうか)からも「特許を早く買い取れ」と言われる。
転:佃の証人喚問
ナカシマ工業で訴訟を担当する三田公康(橋本さとし)は、毎朝新聞の記者に取材を受ける。そこで、三田は「特許侵害をしておきながら、逆に提訴してくるなど、なりふり構わずの行動に出ているとしか思えない」と記者に話す。
一方、財前は、三田に裁判について話を聞き、ナカシマ工業が佃製作所の特許技術に法外な値段をふっかけられる可能性や、競合他社に売り渡される可能性があると考える。そこで、財前は「最悪、使用契約でも良いから佃製作所と特許契約を結ぶべきだ」と考える。
佃は、ナカシマ工業の中川弁護士に証人喚問をされ、証人として出廷する。娘がアイロンをかけてくれたシワのないシャツを着て、佃は証人喚問に臨む。神谷弁護士は、「事前準備の質疑応答は忘れてください。あなたの本音をぶつけてください」と言う。
中川は「あなたが開発したロケットエンジンで、ロケット打ち上げは失敗した。そんな社長の会社に、技術開発力はあるのか?」と問う。佃は、「失敗があるからこそ、開発に打ち込んだ。技術者は自分の無力さを思い知っている。失敗だらけだ。だが、今日駄目だったことが、明日可能になるかもしれない。その可能性に技術者は懸けてるんだ」と主張する。
「質問されたことに答えれば良い」という中川の異議に、裁判官は、「もう少し話を聞いてみたい」と、佃の話を聞く。佃は、「このシャツは、娘がアイロンをかけてくれてシワを伸ばしてくれた。そんなシワを、どのようにすればより効率的に伸ばせるか、一生懸命考えている技術者のためにこそ、特許はあるべきだ」と主張する。
佃の熱意ある主張は、明らかに田端裁判官の心証を変え、中川弁護士の遅延行為を注意する。さらに、双方代理人を田端裁判長は呼び、「佃製作所が特許を侵害されているという心証を持っています」と告げ、佃製作所側の実質的な勝訴に等しい和解勧告であった。
田端裁判官は、決して大企業寄りの判決を出していたわけではなく、しっかりと双方の話を聞き、判決を下す裁判官だったのだ。神谷弁護士は、そのことに気づき、「本音をぶつけてください」と言うのだった。
結:和解勧告
56億円もの和解金が手に入ると知り、白水銀行の根木支店長(東国原英夫)や柳井(春風亭昇太)がやってくる。だが、佃は「一切、取引は中止する」と言い切り、「ウチが苦しい時に、手を貸してくれなかった。都合のいい時だけ来るな!」と一喝する。また、白水銀行の銀行員だった殿村は、白水銀行を退社し、すでに佃製作所の社員となっており、「そちらとの取り引きは、負債返済後に一切、中止させていただく」と告げるのだった。
さらに毎朝新聞に、ナカシマ工業が企業買収を行うため、特許侵害訴訟を起こしているという記事が掲載された。取材した記者は、ナカシマ工業に被害を受けた町工場を営んでいた父親の息子だったのだ。神谷弁護士は、彼を知っており、記事にすることを提案した。記事を受け、上司に「訴訟を取り下げろ」と叱責され、処分を受けることとなった。
神谷弁護士は、佃に「帝国重工の件はどうされるおつもりですか?使用契約ですか?売却ですか?」と訊かれ、「そのどちらでもないです」と答える。
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