映画「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」あらすじ[ネタバレあり・結末まで]

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「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」前半部分(ネタバレなし)

世界的な大人気ミステリー小説『デダリュス』の三部作完結編が出版されることになる。そこで、フランスの人里離れた堅牢な洋館に、9人の翻訳家たちが集められる。

英語、スペイン語、ロシア語…など、各国で販売するために彼らは『デダリュス』完結編を翻訳するよう雇われたのだった。流出やネタバレを恐れた出版社のオーナーであるエリック・アングストロームは、彼らからスマホなどの通信機器を没収し、電話やネット通信もできないようにする。

しかも、『デダリュス』完結編の原稿を全て渡すのではなく、「毎日20ページずつ渡す」「9人全員集められた部屋で、監視下で翻訳を行う」「原稿の持ち出し禁止」という徹底ぶりだった。

ところが、そんな厳重な監視や流出対策が行われているのにも関わらず、アングストロームの元に「冒頭10ページをネットに公開した。24時間以内に500万ユーロを支払わなければ、100ページをさらに公開する。拒否すれば全ページを流出させる」という脅迫メールが届くのだった。

激怒したアングストロームは、9人の翻訳家たちが流出させ、脅迫しているものと思い、徹底的に部屋の捜索や尋問を行う。だが、彼らはネット通信すらできず、外部との接触は一切できない。そんな状態でどのように流出させたのか分からずじまいだった。

完全な「密室」となる洋館の中で、原稿が流出。脅迫している犯人は誰なのか、そしてその手口は?

狂気じみたアングストロームに追い詰められていく9人の翻訳家たちの運命は果たして…

「9人の翻訳家 囚われたベストセラー」後半部分(ネタバレあり、結末まで)

部屋の捜索の中で、デンマーク語の翻訳家であるエレーヌ・トゥクセンの部屋から、小説の原稿が発見される。エレーヌは小説家志望ではあるが芽は出ず、翻訳家として甘んじていることに悔しさを感じていた。また、夫の希望で子供を産んだが、それは彼女の望んだことではなかった。

アングストロームは、翻訳以外の行為は禁じていると言い、その小説を読んで「君には才能はない」と言い、原稿を燃やしてしまう。エレーヌは強いショックを受け、それから間もなく、首を吊って死亡してしまう。

英語の翻訳を行うアレックス・グッドマンを疑ったアングストロームは、秘書のローズマリー・ウエクスに、アレックスの自宅を捜索させる。すると、暮らしていた形跡がなく、彼には「隠れ家」があるのではとローズマリーは考え、アングストロームはさらに隠れ家を探させる。

さらなる原稿の流出が行われ、ついには「全てを流出させる」といったことや、ペナルティとして支払額の増額を求める脅迫メールがアングストロームに届く。彼は激怒し、監視員から取り上げた銃で翻訳家たちを脅す。

追い詰められたアングストロームが、ギリシャ語の翻訳家コンスタンティノス・ケドリノスを殺すと言い出したため、アレックスは「ロンドンの別宅で、遠隔操作によってネット流出させている」と白状する。

だが、アレックスは本当の住所は『デダリュス』の作者であるオスカル・ブラックに連絡をとれば教えると言う。翻訳家たちは、一斉に動いて監視員やアングストロームを取り押さえ、事態の収拾を図ろうとする。アングストロームの分からないスペイン語で話をしていたが、そんな中、アングストロームはロシア語の翻訳家カテリーナ・アニシノバの腹部を銃で撃つ。

本当の住所を教えたら救急車を呼んでやるとアングストロームは言い、アレックスは降参して住所を教える。秘書のローズマリーが駆けつけるが、自らの利益ばかりを追求し、で文学への愛情の欠片もないアングストロームに愛想をつかせた彼女は、流出を止めるのを拒否する。

アングストロームは、脅迫メールに書かれていた多額の金額を支払うが、流出は止まらなかった。結果、アングストロームは流出も止められず、多額の金を失った上、さらにはカテリーナ殺害の罪により逮捕される。

ここまでが『デダリュス』流出、そしてアングストローム逮捕までの経緯です。そのタネ明かしが、ここから始まります。

勾留されているアングストロームのもとを、アレックスが訪れる。そこでアレックスは、計画が翻訳作業に入る前に行われていたと明かす。

アレックスは、『デダリュス』4人の翻訳家に声をかけ、「アングストロームを強請って、多額の脅迫金をせしめる」計画を立てていた。アングストロームのバッグを電車内ですり替え、原稿をコピーし、再び戻したとアレックスは告白する。

だが、それすらもアレックスの「真の狙い」を隠すための偽装工作に過ぎなかった。その計画は、アングストロームや翻訳家たちの目をごまかすものだった。

アレックスの正体は、『デダリュス』の作者オスカル・ブラックだった。つまり、最初から原稿は自らの手にあった。それがなぜアングストロームに近づき、このようなことをさせたのかと言えば、全ては本屋の店主「ジョルジュ・フォンテーヌ」の死の真相を聞き出すためだった。

この作品、燃えていた本屋のシーンで始まりますが、この本屋はジョルジュ・フォンテーヌの店です。アングストロームは、ジョルジュを階段から突き落として殺害し、タバコの不始末と見せかけて書店を燃やしました。

ジョルジュは、アングストロームの「文学の師」であり、アングストロームには自分が「オスカル・ブラック」であると思わせていた。ジョルジュはアレックスに『デダリュス』を読んで欲しいと言われ、その才能に目をみはり、「出版すべきだ」と提案した。ところがアレックスはそれを拒否し、「あなたが書いたということにするならばいい」と言っていたため、アングストロームにジョルジュは「自分で『デダリュス』を書いた」ということにしていたのだった。

そんな中、アングストロームの利益ばかりを追い求め、人を人とも思わぬ態度・行動にアレックスは激怒する。そのため、ジョルジュはアングストロームに「君とはもう仕事をしない」と通達する。そのため、アングストロームはジョルジュを殺害し、原稿を手に入れたのだった。

アレックスは、ジョルジュを殺害したのがアングストロームだと確信しており、その死の真相を聞き出そうとしていた。アレックスに「俺がオスカル・ブラックだ」と言われ、アングストロームは「それはありえない。私がオスカル(=ジョルジュ)を殺した」と自供するのだった。

刑事は、隠しマイクを通じて二人の話を聞いていた。アングストロームはさらなる殺人の罪に問われることになるのだった。

アレックスはアングストロームに「オスカル・ブラックの熱烈なファン」とアピールし、「オスカル・ブラックに会わせて欲しい、連絡をとって欲しい」と願い出ていました。そこで「オスカルは自分が殺した」と自供して欲しかったと思っていたのでしょうね。

トリビア・作品情報

『ダ・ヴィンチ・コード』の作者ダン・ブラウンの作品『インフェルノ』出版の際、翻訳家たちが地下に隔離されたということがこの作品のベースとなっている。

・監督:レジス・ロワンサル

・脚本:レジス・ロワンサル、ダニエル・プレスリー、ロマン・コンパン

・音楽:三宅純

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