簡単なあらすじ
1) 黒沢心(黒木華)は、新人発掘のため、漫画同人誌の即売会・コミックバザールの会場のブースにいた。そこに原稿を持ち込んできた東江絹(高月彩良)、中田伯(永山絢斗)の2人の漫画家の卵に出会う。
2) 中田は、天才肌で異様な雰囲気を醸し出す作風だった。だが、作画は稚拙であり、デビューには時間がかかりそうだった。一方、東江は作画の力があり、デビューも近いと考えられた。
3) 心は、2人に新人賞に作品を出すことを提案。ネームを描かせる。中田はすぐにネームが出来たが、東江はなかなかネームを完成できなかった。そんな中、東江に安井昇(安田顕)に「小説の漫画化を担当しませんか?」と持ちかける。漫画家を横取りされたことを心は憤るが、安井は「あの作家がデビューできなかったら、お前は責任とれるのか?」と言う。
4) 悩む東江だったが、心に出会えたことを感謝した後、「安井さんの話、受けてもいいですか?」と言う。心は東江の背中を押すが、東江との”別れ”を悲しむ。五百旗頭敬(オダギリジョー)は安井に、「”潰しの安井”を発動させないでくださいよ」と釘を刺す。
起:新人発掘
黒沢心(黒木華)は、原稿を持ち込んでくる漫画家の卵の面接をするという、五百旗頭敬(オダギリジョー)に付いて、新人発掘をどう行うのか学ぶ。
五百旗頭に印象を訊かれ、心は的確に作家の特徴を指摘する。五百旗頭は、作品を読んでいる自分から一瞬も目を離さなかった、大塚シュート(中川大志)を「上手くなろうと賢明にこちらの反応を伺っていた」と評し、採用する。人間観察力を認められた心も、ついに新人発掘デビューを担当することになる。
東江絹(高月彩良)は、女子大生で同人誌を作って販売していた。漫画部の部長に「原稿を持ち込んでみてはどう?」と言われ、東江は持ち込みを考え始める。
心は、新人の原稿持ち込み第一号を受けるが、そこに来たのは70代の老人だった。作風が全く合わず、古臭いその4コマまんがに、心は面食らう。だが、「何歳でも新人は新人」と考え、シルバー層向けの雑誌を紹介する(後に、老人はその漫画で大ヒット作家となる)。
承:2人の漫画家志望者
新人発掘は、漫画同人誌の即売会・コミックバザールの会場でも行われる。バイブスからも、出張漫画編集部のブースが置かれ、原稿持ち込みを受け付けていた。エンペラー誌のブースは混み合っていたが、バイブスのブースは誰もやってきてはいなかった。
心は、新人作家を次々とヒットさせている安井昇(安田顕)に、大勢の作家志望者の中から将来有望な作家を探し当てる方法を聞きだそうとする。だが、安井は、pixivなどのSNS上で作家を探し、直接持ち込みに来る僅かな人間だけを相手にするのは時間の無駄と考えていた。
バイブスのブースが、イケメン漫画家・成田メロンヌ(要潤)の登場で盛り上がる中、心は2人の漫画家志望者と出会う。画力は酷いが、異様な雰囲気を醸し出す中田伯(永山絢斗)と、画力はあるが、自分の才能に自信を持てずにいる東江だった。
心は、中田と東江の2人をプロに育てようと考える。彼らは、勉強のため三蔵山龍(小日向文世)のアシスタントとして働くことになった。中田は即戦力であったが、中田はトーンも貼ったことがないほどだった。中田は、「僕は上手い絵を描きたいんじゃない。面白い漫画が描きたいんだ」と言う。
新人賞に向け、東江はネームを作るが、心に「描きたいシーンばかりを集めたようで、エピソードがバラバラで、まるで映画の予告編のようです」と言う。その指摘に、東江は呆然としてしまい、受け止められなかった。ネームを書き続けて2ヶ月、東江はなかなか前に進めなかった。一方、中田はアイデアが次々に湧き出て、あとは原稿にするだけだった。
転:東江の壁
安井は、小説の漫画化を考えており、作家を誰にするかpixivで探していた。そんな中、安井は東江の絵に目を留める。
ネームを何度も描き直している内に、和田靖樹(松重豊)編集長は「その作家、真面目か?…そういうタイプは、早く結果をみせないと燃え尽きるぞ」と心に忠告する。東江も、心が新人であると知り、「このままでいいのか…」と、疑問に思い始めていた。
そんな中、東江に「ネームで悩むって、どういうことですか?漫画家って、次々に頭の中に浮かんだことを原稿にしていくんじゃないですか?」と言われ、さらに漫画家を目指すことが正しいことなのか、と揺らいでいた。
安井は、心が東江の担当であると知らず、東江に「ベストセラー小説の作画をしませんか?」と声を掛ける。心が、3ヶ月もネームを描き直し続けていることを知り、「何を考えているんだ…僕と組めば、さっさとデビューできる。新人賞などすっ飛ばしてね」と安井は囁く。
心は、作家を安井に横取りされそうになっている事態に憤る。だが、安井は「お前はいつ、彼女をデビューさせてやれるんだ?就職のタイミングを失わせて、お前に責任がとれるのか?」と言われ、二の句が継げない。
結:東江の決断
心は、小泉純(坂口健太郎)に相談する。心は、「東江さんには、才能があると思います」と言い、小泉に「それを直接、東江さんに言った方が良い」とアドバイスされる。心は、東江に会い、そこで彼女に「黒沢さんに会えて、本当に良かった。あの時、声をかけてもらえなかったら、ずっと一歩を踏み出せなかったと思うんです」と言われる。
さらに、「安井さんの話、受けてもいいですか?自分の力を試してみたいんです」と言う東江に、心は「頑張ってください」と背中を押す。
自分の不甲斐なさを愚痴る心に、五百旗頭は「相性もあるんだ。作家と編集との出会いも運命みたいなところがある。だから、全て上手くいくとは限らないんだ」と慰める。心は、東江との”別れ”を悲しむ。
五百旗頭は、安井が東江と打ち合わせをしている様子を見かけ、安井に「漫画家は雑誌にとって財産です。異名を出さないでくださいね。『潰しの安井』」と釘を刺す。