保科恭子(綾瀬はるか)は、酒井美和(水川あさみ)・土井友彦(三浦春馬)と、陽光学苑のあった場所を訪れる。だが、そこには陽光の面影はなく、提供者を育てるための「HOME(ホーム)」がそこにはあった。
厚い鉄の門、そして警備員が常駐しており、そこから中には入れそうになかった。そのため、山中を迂回して目指すことになった。だが、美和は貧血が酷く、途中で動けなくなる。恭子は、休める場所を準備し、美和と友彦を案内する。
美和が陽光に3人で行こうと誘った理由を、「最後くらいは良い思い出、良い話にしたかったのではないか」と考えていた。3人は陽光での思い出を話す。「陽光ではなんで、宝箱を使うように指導されてたんだろう?」と恭子は今さらながら疑問に思う。
美和は、恭子と友彦を残して立ち去る。友彦は、「美和、次の提供決まったの?それで最後になるの?」と恭子に尋ねる。恭子は、「今日は知らんぷりしてあげて」と言う。美和は、警備員に見つかって逃げ出す。だが、すぐに捕まってしまった。その際、自分で作って、恭子と友彦にプレゼントしようとしていた塑像を壊してしまう。
介護人である恭子、そして友彦は、警備員に案内され、陽光の跡地に入る。そこには、遊んでいるのにも関わらず全く楽しそうでなく、生気がない子供たちがいた。まともに食事も与えられていない様子だった。
案内された先で、恭子は美和に会う。ホームの管理者にIDの提示を求められ、恭子と美和はカードを提示する。だが、友彦はセンターの管理者に黙って出てきたため、IDカードを持ちあわせていなかった。友彦は、センターに発覚することを恐れるが、恭子は「私が強引に連れだしたんです。責任は私にあります」と言う。管理者に「責任を持って連れ帰って」と言われ、難を逃れる。
ホームからの帰り際、恭子は、自分の子供の頃ソックリな少女(鈴木梨央)に出会う。思わず駆け寄って名前を訊くが、少女は何も答えず、どこかに連れて行かれた。友彦は、美和に「機会を作ってくれてありがとう。こんなことでもない限り、3人で再会できないからさ」と感謝する。そこで、美和は「ごめんなさい。私は、美和から友を奪ったの。1人になるのがイヤで…本当は、2人でいる時間がもっとあったはずなのに」と謝罪する。
さらに、陽光の元・校長・神川恵美子の住所を教える。そして、「恵美子先生に会いに行って、猶予を勝ち取って」と言う。美和は、自分なりの贖罪を行うかのように、2人を再び結びつけようとする。
美和は、恭子が自分たちのもとを去ってから、友彦が絵を描き続けていたことを明かす。猶予を勝ち取るため、そして恭子が戻る日がくるまで、友彦は絵を描きつづけていたのだった。
美和は、最後の願いとして恭子に「提供の日まで、一緒に泊まって」と言う。恭子はそれに応じ、快復センターに泊まりこむことになった。「一緒に寝よう」と、美和は恭子を誘う。子供の頃のように、2人は仲睦まじく過ごす。
恭子は、他の介護人に「楽しいですけど…寂しいです。なんで楽しいのが今なのかなって…」と、美和の最期までの束の間であることを寂しく思っているのだと告げる。
美和は、恭子に宝箱を持ってきて欲しい、と言われる。明日、10時に美和の提供は近づいていた。恭子は、自室に戻り、宝箱に入っていた様々な思い出の品を眺め、いつの間にか朝を迎えていた。
美和は、恭子の運転するクルマで病院へと向かっていた。そこで、思い出のCDの曲である『song after dark』を流す。美和と恭子は、恭子の宝箱の中身を一緒に見て、少女時代の思い出を語り合う。
宝箱の中には、美和との思い出の品が一番多かった。「美和と一番長くいたんだなって思った」と恭子は話す。その言葉に、美和は「知ってた?私、ずーっと恭子になりたかったんだよ。可愛くて、絵が上手くて、勉強もできて。運動はイマイチだったけど。みんなに頼りにされてて、いいなぁって。私は、ずっと恭子みたいになりたかった」と本心を告げる。
「でも、なれなくってさ。じゃあ、恭子を自分のものにしようと思ったの。だったら同じことじゃないって。恭子がいて、こうしていられれば、安心だった。それだけで強くなれる気がした…宝箱なんか、私にはいらなかった。だって、私の宝物は、箱には入らない」と、憧れや屈折した想いから、美和は恭子を傷つけるようなことをしてしまったのだと明かす。
提供の時間が近づき、美和は「ヤダ…ヤダ…」と震えて泣き出す。「離さないで…わたしを離さないで!」と叫び、美和は運ばれて行く。恭子は、呆然とその様子を見送るしかなかった。美和は、「恭子!恭子!」と名前を叫び続ける。
ストレッチャーで運ばれる美和の手をとり、恭子は「私たちは、天使なの。私達、陽光の生徒は、新たな人に生きる希望を与える。その使命をやり遂げるの。…私、見届けるから」と恭子に告げる。美和の脳裏には、「あなたたちは天使なのです」という、神川恵美子校長の言葉が浮かんでいた。
美和の臓器が取り出され、彼女は宿命とも言える役割を果たし、あまりにも短い人生を終える。恭子は美和の遺体を運び、処理を行う。遺品整理を行っていると、センターの職員が、美和の整理したゴミを持ってきて、「分別間違えてます。やり直してください」と言う。
その中には、壊れた美和の「取り戻した未来」というタイトルの塑像が入っていた。恭子は、その塑像を組み立て直す。するとそこには、しっかりと2人で結び合わせる、美和と恭子の手が現れた。塑像を愛おしそうに触れ、恭子は溢れる涙をこらえることができなかった。
友彦には、恭子が介護人の受け入れを承諾したことが伝えられる。友彦は、美和と恭子の子供の頃をモチーフにした絵を描いていた。その晩、友彦は美和に渡された恵美子の住所を見ながら、「猶予…」とつぶやく。
恭子は、友彦のもとへ向かっていた。その道中で、「2人で猶予を勝ち取って」という美和の言葉を思い出していた。
2人は長い遠回りをしつつ再会する。友彦は、「恭子…」と言い、彼女を強く抱きしめる。恭子は、「連れてきてくれた。みんながここへ、私を」と言い、2人は涙する。
恭子は、「取り戻す…全てを。私達は全てを取り戻してみせる。猶予を勝ち取るんだ」と、儚くも輝かしい希望を抱いていた。
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