簡単なあらすじ
1) 企業の入社試験に臨む受験番号「96番」(深田恭子)の大学生は、他の入職希望者とともに試験を受ける。「同じ文言を繰り返し書かされる」「手の上に置かれたグラスを零さずに1時間じっとしている」など、風変わりで意味の分からない試験が実施される。
2) 他の受験者は、「なんの意味があるんだ?」などと思い、その試験に対して不快感を覚えて投げやりになったり、試験官に対して怒りをあらわにしたりする。だが、96番だけは淡々と試験をクリアし、トップの成績であった。
3) だが、結果は「96番以外、全員合格」という意外な結果であった。実は、96番はアンドロイドであり、「ロボットを超える、人間らしい反応ができるか」ということを試験官は見ていたのだった。しかし、96番は「不測の事態に対して、全て想定内の行動しかしていない」と評価していた。
4) 試験官は、96番の首筋に手を伸ばし、スイッチを切る。96番は機能を停止し、その場に倒れこむ。試験官は部下とともに、次なるアンドロイド制作についての話をするのだった。
詳細なあらすじ
企業の入社試験に臨む受験番号「96番」(深田恭子)の大学生は、他の入職希望者とともに試験の開始を待っていた。試験官が現れ、彼は問題用紙を配布する。そこには、「さいた さいた さくらがさいた」と書かれており、その文言を延々と書き続けるよう指示される。
他の受験者たちは、延々と無意味なことをさせられることに疑問を感じ、ペースが落ちていく。中には、「こんなことをさせられて、バカにしてんのか?」と怒り出す者もいた。そんな中、96番はペースを落とすことなく、ダントツの回数で書き続けていた。
次の試験は、テーブルに着席し、両手の上にお盆、その上にカクテルの入ったグラスを乗せられる。試験官は、「何があっても、グラスから液体をこぼさないように」と言う。だが、いきなり部屋が暗くなったり、
大きな音が出されたりして零してしまい、受験者は次々に退席を命じられる。そんな中、96番はグラスを手に乗せ続けた。毒グモが腕の上を這おうとも、祖母に教えられたという「クロスマイフィンガー」という、人差し指と中指を交差させるおまじないで乗り切るのだった。
最後の試験は、ロシアンルーレットのようなものであった。一発の銃弾が入った拳銃をこめかみに当てて引き金を引く。他の試験者たちは、それが実弾であると分かり、躊躇する。そんな中、96番だけはこめかみに拳銃を当て、引き金を引いた。幸い、銃弾は発射されず、彼女は無事であった。
全ての試験が終わり、試験官は合格者を発表する。彼は「96番以外、全員合格」と言い、96番は驚く。他の受験者たちは喜び、退室する。残った96番は、試験官に「私が全ての試験でトップだったのに、どうしてですか?」と抗議する。試験官は、「たしかに君はトップだった。だが、全て予想された範囲内の行動だったのだ」と、不合格の理由を告げる。
96番は、実はアンドロイドであり、試験官はアンドロイドの研究者であった。彼は、人間らしさ、「ロボット」を超えるアンドロイドを作り出そうとしていたのだった。だが、試験に対する反応は、期待していたものではなかったのだった。
試験官は、96番の首筋に手を伸ばし、スイッチをオフにする。すると、彼女は動きを停止し、その場に倒れてしまう。
試験官は、部下に「『クロスマイフィンガー』は良いアイディアだったけどね」と言う。そのおまじないは、予想外の事態に遭遇した場合、機能停止状態に陥ることを防ぐためのプログラムであった。