簡単なあらすじ
1) 村上クリオ(椎名桔平)は、エジプトの砂漠をさまよっていた。既に3日が経過し、飲み水もなかった。あきらめかけた中、砂漠の中でオアシスを発見し、喉の渇きを村上は救助される。
2) 帰国し、村上は本社勤務・昇進することになる。日常生活に戻れたと思いきや、彼はいくら水分を摂取しても渇きが癒えず、飲んでいる水や食事が砂のように感じてしまう。医師に相談すると、「過酷な体験をしたため、体は水分を欲していないのに、精神的に水を飲みたくなってしまっているのかもしれない」と言われ、精神的な渇きによって水を飲みすぎないように指示される。だが、大量に水を飲んでしまい、さらには水や料理が砂のように感じてしまうことがあった。
3) 婚約者と部屋にいるとき、村上はキスをしている最中、口の中に砂が入り込むような感覚があり、思わず婚約者を突き放し、床に砂を吐き出そうとしてしまう。彼女は呆れて部屋を出て行った。部屋には、砂が降り積もっていき、村上は立ち尽くすしかなかった。
4) 砂漠のオアシスに場面は戻り、そこに村上は力なく横たわっていた。そこには水はなく、干上がっている。水のあるオアシスを発見して助かった、というのは村上の妄想であった。実際、彼は救助されたわけではなく、その場で息絶えることになる。
詳細なあらすじ
村上クリオ(椎名桔平)は、エジプトの砂漠をさまよっていた。既に3日が経過し、持参していた水も飲み干してしまっていた。あきらめかけた中、彼は砂漠の中のオアシスを発見する。水を飲み、村上は自らの幸運に歓喜する。
村上は、救助隊に発見され、無事に日本に帰国する。そんな彼を上司は労い、「カイロ支社の社員に聞いたが、あの砂漠で遭難した者で、無事に帰ってきた者はいない。なんという生命力だ・・・君は本社に戻り、昇進することになった」と言う。
そんな上司が美味そうに水を飲み干すのを見て、つい村上は喉を鳴らす。帰国してからというもの、村上は喉が渇いて仕方がなかった。さらに、オフィスの冷房はしっかりと効いているはずなのに、暑いと感じてしまう。
そんな中、村上は友人に差し出されたお茶を飲み、まるで砂を飲んでいるような感覚に陥る。缶からは砂がサラサラと出てきているように見えた。その友人の勧めもあり、村上は病院を受診する。そこで医師に、「過酷な体験をしたため、体は水分を欲していないのに、精神的に水を飲みたくなってしまっているのかもしれない」と言われ、精神的な渇きによって水を飲みすぎないように指示される。
だが、村上は癒されない渇きによって、大量に水分をとってしまう。婚約者との食事を行っていても、水を飲みすぎて「どうしたの?」と心配される。さらに、スープを飲もうとして、それが砂に見えてしまい、村上は困惑する。
心配する婚約者とともに部屋に戻った村上は、彼女とキスをして、口の中に砂が入り込むような感覚があり、思わず婚約者を突き放し、床に砂を吐き出そうとしてしまう。彼女は呆れて部屋を出て行った。
取り残された村上は、部屋に砂が降ってくるかのような感覚に襲われた。最初は少量であった砂が、大量に落ちてくるようになり、クローゼットからも流れ込むようになった。部屋の床は砂で埋まり、村上は立ち尽くすしかなかった。
砂漠のオアシスに場面は戻り、そこに村上は力なく横たわっていた。そこには水はなく、干上がっている。
水のあるオアシスを発見して助かった、というのは村上の妄想であった。実際、彼は救助されたわけではなく、その場で息絶えることになる。