「ビデオドラッグ」前半部分(ネタバレなし)
東都大の大学生が、振られた腹いせに恋人の目を切り裂き、その場で自分の目も切り裂くという凄惨な事件を起こす。同じ大学で心理学研究室で助手を務める鳴海奈津子(古村比呂)は、そのニュースを新聞で読んで知る。
奈津子は、教鞭をとって学生たちに「無意識」について話をしていた。教え子のマユミは、事件のことについて奈津子と話をする。そんな中、マユミは「ビデオドラッグ」という作品が流行っており、友人にダビングしてもらったと奈津子に伝える。
マユミは、彼氏のタカシが浮気している現場を目撃してしまう。自宅に帰って怒りをぶちまけるマユミは、ダビングしてもらった「ビデオドラッグ」を見る。サイケデリックな映像と単調な音が続くそのビデオを見た後、マユミはタカシの部屋を訪れる。
マユミはタカシの目をナイフで突き、自身の目も突くのだった。
凄惨な事件の背景に、どうやら「ビデオドラッグ」というビデオテープが関係をしていそうです。それにしても90年代のドラマはまだまだ攻めた内容で「これを地上波でやっていたのか」と驚いてしまいますね。
「ビデオドラッグ」後半部分(ネタバレあり、結末まで)
マユミは病院に入院し、刑事がやってきて奈津子に事件について話をする。マユミは自分が何をしたのか全く自覚していないかった。だが、「殺せ」という声が聞こえたのだという。
奈津子は、マユミが「ビデオドラッグ」というビデオテープの話をしていたことを思い出す。奈津子はビデオショップで「ビデオドラッグ」を購入して見てみる。だが、なんら手がかりはつかめず、「関係ないか…」と思う。
そんな中、刑事からマユミの友人・ユキが同様の事件を起こしたと聞かされる。ユキもまた、「ビデオドラッグ」のダビングテープを持っていた。
奈津子は、ユキの持っていた「ビデオドラッグ」テープを解析する。だが、その中で自身もナイフを持って「殺せ…」とつぶやいていることに驚く。
解析を続けると、「ビデオドラッグ」で流れる音が、「こ・ろ・せ」という音の波形に似ていることを突き止める。奈津子はすぐに刑事に電話を行い、「一連の事件の原因は、ビデオドラッグです」と伝える。
刑事が部下とともに研究室へやってくると、警備員が目を突かれて倒れていた。奈津子を刑事は探そうとするのだが、当の彼女はワイドショーに出演し、「事件の原因はビデオドラッグです。これを見ると、自分の憎しみをつのらせ、自分が最も恐ろしいと考える行動をしてしまうのです」と語っていた。
さらに、「市販されているテープは問題ないのですが、ダビングを行うとコピープロテクトが作動し、光の変化を起こしてしまい、偶然ある信号、『殺せ』という信号を作り出してしまうのです」と奈津子は語る。
その番組を見た刑事は、「…しまった!」と慌てる。奈津子は、番組で映像を流させており、刑事は「すぐに放送をやめさせろ!」とテレビ局へ電話する。だが、そんな彼が電話をしている最中、番組を見続けていた部下は、拳銃を向けて引き金を引く。その直後、もう一発の弾丸が発射される音が研究室に鳴り響くのだった。
『サブリミナル』をどこか思い出させる内容ですが、またひと味違う不気味さがあっていいですね。「番組で映像、流しちゃうの?」と思わずツッコみたくなりますが、そこもまたご愛嬌。「ビデオテープ」「ダビング」「コピープロテクト」なんて言葉も妙に懐かしくなっていいですね。
「ビデオドラッグ」制作情報
・脚本:中園健司
・監督:太田雅晴