簡単なあらすじ
1) 桜井信一(阿部サダヲ)は、娘・佳織(山田美紅羽)のため、一緒に中学受験の勉強を始める。自宅で受験勉強を行う、「俺塾」で信一は佳織とともに勉強しようとする。信一と佳織は、睡眠時間を削ってまで勉強に打ち込む。
2) 担任教師・小山みどり(小芝風花)は、佳織が授業中に居眠りをしていることを心配する。一方、信一もまた、仕事を後輩の楢崎哲也(風間俊介)に任せきりになってしまい、楢崎は苛立ちを感じ始めていた。
3) 小山先生は、家庭訪問で「中学受験は、親の見栄です」と断言する。彼女もまた、親から中学受験を押し付けられ、父親に反発していたのだった。だが、佳織は「お父さんをイジメないで!お父さんは悪くない!」と反論する。
4) 小山先生は、佳織の言葉を受け、「中学受験は悪だ」という考えを改める。一方、信一も仕事を疎かにしていたことを反省するが、楢崎は部長に「この物件を売ったのは私です。桜井さんは何もしていません」と言い、信一はそこで、楢崎が悩み、苦しみ、苛立ちを感じていることに気づけなかった、と後悔するのだった。
ここがポイント
担任の小山みどり先生は、「中学受験のイヤな記憶」があるため、佳織の中学受験に反対する。だが、それが決めつけであり、本当に佳織も中学受験を望んでいるのだと分かる。
子供が何を望んでいるのか、そして「本当は望んでいないのに、親の顔色を窺っているだけなのか」というのは判別が難しい。佳織の場合、「親の期待に答えようとしたい」という意味で中学受験に望んでいるのではないかと考えられるが、その熱意や本気度合いに、小山先生は中学受験に対する自分の偏見に気づく。
詳細なあらすじ
桜井信一(阿部サダヲ)は、娘・佳織(山田美紅羽)のため、一緒に中学受験の勉強を始める。塾ではなく、信一は自宅で一緒に勉強をすることに決めたのだった。
「俺塾」と名付けた自宅の勉強部屋で、まず信一は「偏差値72」へと上げるための行程表を作成する。偏差値41の現在からは遠い道のりではあるが、睡眠時間を削って2人は勉強を行う。
佳織が寝た後も、信一は予習を行う。佳織にいいところを見せようと頑張る信一に、香夏子(深田恭子)は「仕事もあるし、無理しないでね」と言う。
徳川麻里亜(篠川桃音)は、クルマで送り迎えにより登下校していた。担任教師・小山みどり(小芝風花)は、「原則として集団登下校をすべきです」と言い、父・直康(要潤)を説得する。
信一は、後輩社員・楢崎哲也(風間俊介)に「塾で使ってるテキストを手に入れられないか?」と相談する。楢崎は、「塾の卒業生に譲ってもらうのはどうですか?」と提案し、信一はさっそく動き出す。
塾で、卒業生の保護者に「先輩にお話を聞かせていただきたい」と声をかける。一方、部長が楢崎に「桜井がサボっているのでは」と言う。
信一は、物件の内覧客案内そっちのけでテキスト集めをしており、楢崎は苛立つ。信一は、楢崎をなだめようとするが、楢崎は怒ったままだった。
信一は、つるかめ算をマスターすべく、居酒屋で仲間とともに鶴と亀の折り紙を折り、それを使って、佳織に分かりやすく教えようとする。一方、楢崎は信一の代わりに残業で仕事をこなしていた。
佳織は、入浴時にも眠そうにしており、香夏子は心配する。そんな中、小山先生が心配して「家庭訪問をやりたい」と言い出す。香夏子は、信一に「同席してくれるよね?」と言う。
香夏子は、義父・一夫(小林薫)に信一の話を聞く。中学の時、母親が病気になり、治療費を捻出する必要もあり、信一は高校に行ってられないという事情もあったのだという。
麻里亜は、漢字の抜き打ちテストで思ったような点数がとれず、落ち込んでしまう。父・直康は「86点ならいいじゃないか」と言うが、麻里亜は納得していないようだった。
信一は、家庭訪問のため、楢崎に内見での接客を任せきりにしてしまう。小山先生は、「本当に中学受験をするつもりですか?塾にでも行かせず」と言う。「自分のできなかったことを、娘さんに無理強いしているだけではないですか?」「中学受験は、親の見栄です」とまで言われ、香夏子は小山先生を「俺塾」に迎え入れる。
香夏子は「ウチの人は、本気なんです。本気で佳織に勉強を教えています」と言う。小山先生は、「小学校の勉強の目的は、人間形成です」と言う。さらに、「娘さんは、お父さんに気に入られたいから、『勉強する』って言うに決まっています…私も、子供の頃そうだったから分かります。私の父と一緒です。中学受験に成功して、それで終わりじゃないんです」と言う。
そんな言葉を聞き、佳織は「お父さんをイジメないで!お父さんは私のために頑張ってくれてるの!…私は、お父さんの代わりに学校に高校に行って、大学に行く。受験だけでなく、学校の勉強も頑張るから!」と言う。
信一は、「本当にこれは佳織のためなのか?本当に佳織は、幸せになれるのか?」と考え始める。だが、卒業生のテキストを見て、何回解いたのか、どんな間違いをしたのか、といった多くの書き込みがあることに気づく。「これは、親の愛情だ」と思うのだった。
信一は、しっかりと睡眠時間を確保するため、一日の時間スケジュールを決める。さらに、香夏子も風呂場で漢字の勉強ができるように工夫をするのだった。
佳織は、遅刻して正門から入れず、麻里亜を誘って秘密の抜け道を教える。麻里亜は、躊躇しながらも佳織とともにそこから入る。
小山先生は、佳織の涙の主張に心を動かされ、中学受験が悪だという考えを改める。そこで、授業でも中学受験を意識した内容を取り入れるようにするのだった。
信一は、楢崎に「任せっきりにしてしまい、悪かったな」と謝る。「一緒にマンションを売った」と信一は言うのだが、楢崎は部長に「一緒に売ったのではありません。私一人で売った物件です」と言う。信一はそこで、楢崎が悩み、苦しみ、苛立ちを感じていることに気づけなかった、と後悔するのだった。