簡単なあらすじ
1) 桜井信一(阿部サダヲ)は、胃潰瘍で入院し、検査入院の後に退院した。だが、家に帰ると、家賃の数ヶ月滞納していたことで、大家に鍵を変えられ、家に入れなくなってしまっていた。
2) 父・一夫(小林薫)は、家を売ってお金を工面しようとしていたが、その土地は市街化調整区域にあたり、売却は困難と判明する。一方、佳織(山田美紅羽)は模試の結果が偏差値40という惨憺たる結果であり、落ち込んでしまう。
3) 信一は、大家に家賃を待って欲しい、と頼み込むも、無下に断られてしまう。信一は、徳川直康(要潤)に相談すると、「それは大家さんが違法です」と言い、顧問弁護士を通じて大家と交渉し、家賃の支払いを待ってくれることになった。
4) 一夫は、自殺によって生命保険でお金を工面しようとして、香夏子(深田恭子)に止められる。家族に迷惑をかけてしまうと考えた佳織は、「受験をやめる」と言い出す。だが、信一は「ここで逃げ出すのか?麻理亜ちゃんは、偏差値70だぞ。ここで逃げ出してもいいのか?佳織の弱虫!」と言い、佳織は再び受験勉強を続ける決意をするのだった。
詳細なあらすじ
桜井信一(阿部サダヲ)は、腹痛を訴えて倒れてしまう。救急搬送され、担当医には「検査入院した方がいいです」と言われるが、信一は「すぐに退院します。俺にはやることがあるんです」と言う。
そんな中、佳織(山田美紅羽)は模試の結果を持って病室を訪れる。偏差値40であり、「振り出しよりも悪い」結果だった。信一は、「今までの努力は全てムダだったのか…」と落胆する。
信一は、病室で勉強をする。楢崎哲也(風間俊介)は、「旦那さんに、一緒についていてあげてください」と言うが、香夏子(深田恭子)は家賃を心配して働こうとする。楢崎は、「契約の一つを、香夏子さんの売上にしましょう」と言う。
信一は、「半年経ったのに、偏差値が上がらない。今までの努力が全てムダだと思ってる…でも、だからこそ今やめるわけにはいかない。一日たりとも休むことはできない」と言う。
佳織は、学校の授業でもぼんやりとしてしまっていた。小山みどり(小芝風花)先生に当てられ、答えることができて友人に褒められるが、逆にそれがいたたまれない気持ちにさせた。食欲もなく、明らかに佳織は元気がなかった。
佳織は、信一の病室を訪れる。信一は、佳織の模試の答案をチェックして、「考え方は合ってるが、ミスが多すぎる」と指摘する。そして、「結局、バツになるんだったら、全く分からない子と一緒だ」と言う。
信一は、内視鏡検査を受け、佳織は心配する。そんな佳織に、香夏子は「そんなに心配することないよ」と言う。佳織は、「ミスが多いのが直らなかったらどうしよう」という不安も口にする。香夏子は、「それでもいいじゃない。考え方は合ってるんでしょ?」と言う。
「それで幸せになれるかな?」と言う佳織に、香夏子は「お母さん、不幸だと思う?…信ちゃんや佳織がいるから、お母さんは幸せだよ」と言う。
信一は、胃潰瘍だと判明する。内服治療を行えば退院して良いということになった。親子3人で帰宅すると、家賃滞納で鍵を変えられてしまい、家に入ることができなくなってしまう。督促状が来ていたのだが、参考書や模試などの出費で、支払うことができなかったのだった。
一夫(小林薫)は、「カネを払えばいいんだろ?俺は、家を売ることにしたんだ」と言う。だが、楢崎は「難しいものがありまして…」と、市街化調整区域であるため、売るのは困難であると言われてしまう。
信一たちは、一夫の家に身を寄せる。信一は、大家の田畑(村松利史)に家に入れてもらえるように頼み込む。だが、「お金を持ってこないと話にならない」と言う。信一の「ちゅうぼう」仲間は、カンパを募って家賃の足しにしてもらおうとするが、1万円ほどにしかならなかった。
佳織は、麻里亜(篠川桃音)のことを思い出していた。麻里亜は、桜葉合格に着実に近づいていた。一方、佳織は程遠い成績であった。麻理亜は、「お母さんも桜葉だったんだ。だから、桜葉に受かったら、入学式に戻ってきてくれるんじゃないかな」と願っていた。
信一は、仕方なく徳川直康(要潤)に相談する。だが、なかなか借金を頼むことができなかった。そこで信一は、娘の成績について話をして、麻理亜が偏差値70に到達したと知って驚く。
直康は、妻が育児ノイローゼになって出て行ってしまったことを明かす。そして、妻に去り際、「麻理亜は、あなたの子じゃない」と言われたのだという。
信一は、家を追い出されたことを相談する。すると、直康は「それは大家さんが違法ですね。顧問弁護士になんとかさせましょう」と言う。弁護士は、「法的には、自力執行は禁止されています。契約を実行するには、裁判を起こさなければなりません」と指摘し、大家は鍵を返す。
信一は、直康のお陰で家に戻れたことに、悔しさや引け目を感じる。そんな中、香夏子は「契約とれるかもしれない」と打ち明け、信一は喜ぶ。翌日、香夏子は契約がとれるのだった。
一夫は、生命保険でお金を残そうと、庭で首を吊ろうとしていた。香夏子は、一夫のそんな行動を止める。香夏子は、信一に連絡し、信一は慌てて佳織とともに病院へとやってくる。
一夫は、「どっちにしろ、俺は先にいなくなるんだから」などと言う。さらに、「俺は夢を見た。高い塀があって、ハシゴをかけて登っていく。俺は佳織を背負うお前に渡す係。途中までお前が登っても、そこから先は、佳織が自分で登っていかなきゃならない」と言う。
その言葉を聞いて、自分のせいで父親や祖父に迷惑をかけていると思った佳織は、「中学受験なんかやめる!」と言い出す。我が子が追い詰められていたことに気づいた香夏子は、「分かった。もう分かったから」と言い、中学受験をやめよう、と言う。
だが、信一は「本当にそれでいいのか?」と佳織に問いかける。「お父さん、納得できない。お前は逃げたいだけだ…俺は、お前とずっと勉強してきた。ずっと一緒に勉強してきたんだ。俺には分かるよ。お前は、俺の病気やおじいちゃんのことを言い訳にしてるだけだ。お前が気にしてるのは、偏差値が40に下がったことだ。俺も悔しくてしかたない。…みんなに迷惑かけて、一生懸命勉強してるのにちっとも成績が上がらない」と言う信一に、香夏子は「やめて!佳織をこれ以上追い詰めないで」と言って、佳織を連れ出す。
信一は、「ここで逃げ出すのか?麻理亜ちゃんは、偏差値70だぞ。ここで逃げ出してもいいのか?佳織の弱虫!」と叫ぶ。佳織は、「弱虫じゃないもん!」と言って、再び受験勉強を続ける決意をする。
その次の全国模試で、佳織は偏差値60を超えるのだった。