簡単なあらすじ
1) ボストンの町・イーストバッキンガムで、デイヴ・ボイルが友人2人であるジミー・マーカム、ショーン・ディバインの前で誘拐される。デイヴは、性的にもてあそばれた後、4日後に逃げ出した。
2) この一件は、3人に暗い影を落とし、交流はなくなった。25年後、ジミー(ショーン・ペン)の娘・ケイティが殺害される。刑事となったショーン(ケヴィン・ベーコン)は、捜査を行う。
3) デイヴの妻・セレステ・ボイル(マーシャ・ゲイ・ハーデン)は、ケイティが殺害された晩、夫が遅く帰ってきて、血を流しながら帰ってきた、とジミーに打ち明ける。ジミーは、デイヴを呼び出し、詰問した上で復讐のために殺害する。
4) だが、ショーン刑事は少年2人をケイティ殺害の犯人として逮捕する。そのことを告げると、ジミーは無実のデイヴを殺害してしまったと気づき、悔いる。デイヴは、妻・セレステがもうしばらくの間、ジミーに打ち明けなければ殺害されなかった。そして、幼少期に男のクルマに乗らなければ、酷い体験をしなくても済んだ。両方での事件において、デイヴは犠牲となってしまったのだった。
ここがポイント
タイトルの「ミスティック・リバー」は、マサチューセッツ州を流れる実在の川の名前である。レイ、そしてデイヴの遺体が沈められる川として登場する。
3人の少年のうち、1人だけが誘拐される。結果、デイヴは幸せな少年時代を奪われる。さらに、ケイティを殺害した犯人として疑われ、ジミーに殺害されてしまうのだった。なんとも不運な男である。
一方、ジミーも過去に殺害した男の子供が、自分の長女・ケイティと交際し始め、さらにはレイのもう一人の息子”レイ”に殺害されてしまうという運命に翻弄されるのだった。
起:25年前の誘拐事件
ボストンの町・イーストバッキンガムで、ジミー・マーカム、デイヴ・ボイル、ショーン・ディバインという3人の少年が暮らしていた。彼らは、ホッケーで遊んでいた。そんな中、ボールが排水溝に落ちてしまい、遊べなくなってしまったため、ジミーたちは。乾きかけのセメントに自分たちの名前を彫っていた。
それを見咎めた中年の男が、ジミーたちの声をかけ、叱る。刑事だと名乗るその男は、「親に話をしに行く」と言い、ジミーたちをクルマに乗せようとする。そこで、デイヴだけが乗り、クルマは走り去った。
ジミー、ショーンは、大人たちに相談し、「デイヴがさらわれた」と騒動になる。デイヴをさらった男たちは、刑事なのではなく、デイヴを監禁し、性的にもてあそんでいた。4日後、デイヴは監禁場所から逃げ出した。この事件がきっかけとなり、3人は離れ離れになって交流はなくなってしまった。
承:ケイティの死
25年後、ジミー(ショーン・ペン)は強盗で逮捕・懲役を受けた後、一人娘のケイティ・マーカム(エミー・ロッサム)のため、足を洗って小さな商店を開いていた。ショーン(ケヴィン・ベーコン)は、殺人課の刑事となった。
ジミーは、次女の初聖体の日で教会へと出向いた。だがその朝、ケイティは行方不明となっていた。そんな中、警察には「公園で血まみれの女がクルマの中にいる」という通報が入る。ショーンは、その通報で公園へと向かうと、中が血だらけとなっていたクルマが放置されていた。そのクルマの所有主は、ケイティであると判明する。
ショーンたち警察は、さらに公園内を捜索すると、ケイティの遺体を発見する。ケイティは、拳銃で撃たれて死亡したものと思われた。ジミーは、ケイティの遺体と対面し、深い悲しみを感じつつも、その一方で犯人に復讐を果たそうと、不良仲間のサベッジ兄弟に聞き込みを行わせる。
一方、ケイティが死亡した晩、デイヴ(ティム・ロビンス)は腹部をナイフで刺され、右手を腫らして深夜3時に帰ってきた。驚いた妻のセレステ・ボイル(マーシャ・ゲイ・ハーデン)は、事情を聞くが、デイヴは「強盗に襲われて、応戦した。強盗を殴って、殺してしまったかもしれない」と打ち明ける。だが、翌日の新聞やテレビでは、強盗の遺体が発見されたといった報道はなされていなかった。
ショーンたちは、デイヴのことを容疑者としてマークする。デイヴのクルマからは、ケイティの血液型と一致する血液が検出される。だが、デイヴは「クルマは盗難にあった。その泥棒がどうクルマを使っていたかが分からない」と言い逃れる。
転:レイの拳銃
ケイティ殺害に使用された拳銃の線条痕から、その拳銃が、強盗事件に過去、使用されていたものと同一であると判明する。その強盗事件の犯人は、レイという人物と考えられた。
レイは、ジミーの仲間だったが、行方不明となっていた。そして、ジミーの情報を提供ことによって、赦免を受けていたのだった。結果、ジミーは癌で死亡した前妻(ケイティの実母)の死に目に遭えなかった。
レイの家族には、レイ名義で毎月500ドルずつ送金されていた。そして、レイの息子ブレンダン・ハリス(トム・グイリー)は、ケイティと交際していたことが明らかとなる。ブレンダンとケイティは、ラスベガスに行くことを予定しており、「一緒に結婚しようとしていた」とブレンダンは明かす。
ブレンダンは、嘘発見器にかけられるが、ケイティを殺害していないことが明らかとなる。事情聴取の場で、「ケイティを殺害した拳銃は、お前の父親のものだった」と明かされる。ブレンダンは、自宅に戻り、父・レイの持っていた拳銃を隠していた天井裏を探るが、拳銃はなくなっていた。そこで、ブレンダンは誰が犯人なのか気づくのだった。
一方、ジミーはデイヴの妻・セレステから、「事件当夜、デイヴが夜遅くに、血を流して帰ってきた。あの日から、彼はおかしいの」と言い、デイヴがケイティ殺害の犯人なのではないか、と打ち明けられる。
ショーンは、警察に連絡する2人の少年の通報を録音した音声を聞きなおしていた。すると、クルマの中には遺体がなかったにも関わらず、「女が血だらけでいる」と少年たちが言っていることに疑問を抱く。そして、その少年たちが犯人なのではないか、と推理するのだった。
結:デイヴの死
ジミーは、セレステの言葉から、デイヴが犯人であると確信する。ジミーは、サベッジ兄弟を利用し、デイヴをバーに呼び出す。酔ったデイヴは、バーの裏の川辺へと出る。そこでジミーは、「ここで俺はレイを殺した。アイツが密告したせいで、俺はレイを殺し、この川に沈めたんだ」と明かす。その後、ジミーはレイの家族に強盗で奪ったカネを毎月500ドルずつ送金した。そして、このような経緯から、レイの息子・ブレンダンがケイティと交際するのに反対していたのだった。
そして、ジミーはデイヴを詰問し、「お前がケイティを殺したんだろう」と言う。だが、デイヴは「少年を犯している男を殴り殺した」と告白するのだった。デイヴは、自分も同様の体験をしており、少年を救おうとしたところ、犯人を執拗に殴ってしまい、死に至らしめてしまったのだった。
だが、ジミーの告白を信じず、「お前がケイティを殺したんだ」と言い続ける。ついにケイティ殺害を認めざるを得なかったデイヴは「俺がケイティを殺した」と言い、ジミーはデイヴを殺害するのだった。
一方、ブレンダンは弟のレイを呼び、話を行う。そして、言葉を喋ることができないというレイに、「本当は喋れるんだろ?」と言う。ブレンダンは、弟のレイ、そして彼の友人の2人が父親の拳銃を持ち出し、ケイティのことを殺害したのだと確信していた。
ブレンダンは、とめようとした弟の友人を殴りつける。その友人は、拳銃を取り出し、ブレンダンに向ける。そんな中、犯人に気づいたショーンは、彼らのもとに現れる。そして、拳銃を持った犯人を捕らえるのだった。
デイヴを殺害し、川に流したジミーは、道端で酒を飲んでいた。そこにショーンがやってきて、「ケイティを殺害した犯人を逮捕した」と明かすのだった。犯人が、レイの息子・レイとその友人であると知り、ジミーは動揺する。
犯人たちは、拳銃を持ち出し、単にケイティを脅そうとしただけだった。ところが、発砲してしまい、ケイティに当たってしまったのだった。ケイティは、車外へと逃げ出したが、力尽きて死亡したのだった。そして、バーの裏でデイヴが殺害した男が発見された、と告げるのだった。
ジミーは、無実のデイヴを殺害してしまったことを悔いるが、自らの罪については打ち明けなかった。妻のアナベス・マーカム(ローラ・リニー) は、ジミーを慰めるのだった。
通りでは、マーチングバンドのパレードが行われていた。ショーンは、戻ってきた妻子とともにパレードを見ており、ジミーの姿を見かけると、手で撃つ真似をするのだった。ジミーは、そんなショーンの行動を笑って受け流す。一方、夫が行方不明となっているセレステは、パレードに参加する息子・マイケルのことを呼び続けるのだった。
デイヴは、妻・セレステがもうしばらくの間、ジミーに打ち明けなければ殺害されなかった。そして、幼少期に男のクルマに乗らなければ、酷い体験をしなくても済んだ。両方での事件において、デイヴは犠牲となってしまったのだった。