映画「イット・カムズ・アット・ナイト」(原題 It Comes at Night)あらすじ・ネタバレ・解説

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未知の病原体が流行し、世界は荒廃していた。そんな中、ポール(ジョエル・エドガートン)、妻のサラ(カルメン・イジョゴ)、10代のトラヴィス(ケルヴィン・ハリソン・Jr)は、ひっそりと森の中で暮らしていた。

サラの父が感染すると、彼らは父親を殺害し、火葬した上で埋めるのだった。翌日の晩、彼らは侵入者を捕らえる。ポールは、彼を樹に縛り付け、頭から布袋をかぶせて観察し、感染していないかどうか確認する。

その男は、ウィル(クリストファー・アボット)という名前であり、妻と息子のために水を探していたと言い、「水をくれれば、食料を渡す」と交渉を持ち掛ける。サラは、生存者のことを知っていれば、自分たちの身を守るのに役立つと考え、それに同意したポールは、ウィルとともに、彼の家族と会いに行くのだった。

途中、2人の男に襲撃され、ポールは彼らを殺害する。数日後、ポールはウィルの妻であるキム、息子のアンドリューとともに帰ってくる。ポールとサラは、生き抜く上で生活上守るべきルール、「昼間も森に行くときは複数人で」、「夜の外出は最小限に」、「出入り口は赤いドアのみ」とウィルたちに伝え、ともに生活をし始める。

そんな中、トラヴィスの飼い犬であるスタンレーがけたたましく吠える。トラヴィスは、スタンレーの吠える方に向かうと、そこで何かの音を聞くのだった。そのことをポールとウィルに伝える。

その晩、ポールはウィルが以前話していたことと矛盾する話をしていたため、次第に不信感を募らせていく。一方、トラヴィスは、祖父の悪夢を見て目を覚ます。アンドリューが祖父の部屋の床で寝ていたのを見かけ、彼の両親のもとへと連れていこうとする。

そんな中、トラヴィスは階下で物音を聞き、正面玄関のドアが開いているのを発見する。彼は、ポールとウィルを起こし、そこで愛犬のスタンレーが血を流し、重病な様子であることを発見する。そこで彼らは、スタンレーを殺して焼くのだった。

トラヴィスが、「ドアが開いていた」と明かすと、サラは夢遊病のアンドリューが開けたのかもしれないと推測し、キムは反論して2つの家族の間に緊張感が高まっていく。ポールは、互いに別々の部屋で生活すべきであると決める。

翌朝、トラヴィスはキムがウィルに「ここを出よう」と話しているのを聞く。トラヴィスは、アンドリューが感染している可能性があり、自分も感染するかもしれないと両親に伝える。

ポールとサラは、マスクやグローブで防御しつつ、武器を持って水や食料を奪う可能性のあるキムとウィルに対抗しようとしていた。ポールは、アンドリューが感染していないかどうか調べて欲しいとウィルに言うと、ウィルは銃で脅して「家族は感染していない。ここを出るために、水と食料を分けろ」というのだった。

だが、ポールとサラはウィルを倒し、彼とその家族を強制的に外へと出す。さらに、ポールたちはウィルを殺害する。キムとアンドリューは森の中へと逃げ込み、ポールは彼らを追跡し、アンドリューを殺害するのだった。キムは、悲しみのあまり、彼に「私を殺して」と頼み、ポールは彼女を殺害するのだった。

その後、トラヴィスは明らかに感染していた。サラは、死にゆく息子を慰めるのだった。しばらくすると、ポールとサラもまた感染し、夕食の食卓に静かに座っていた。

解説

「未知の病原体」の恐怖もさることながら、実際は疑心暗鬼となったことをきっかけとした人間同士の争い、狂気の方が恐ろしいと感じさせる作品となっている。少人数の出演者、限られた場面展開の中で見事なドラマを描き出している。

監督のトレイ・エドワード・シュルツは、1988年10月6日生まれの若手映画監督である。細やかな心理描写を得意としており、短編『Mother and Son』、長編デビュー作『クリシャ』などを発表している。テレンス・マリック監督の『ツリー・オブ・ライフ』にも参加していることで知られる。

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