物理学者の星野は、神社の階段に酢酸ナトリウムを撒き、同級生の若月を殺害しようとしていた。蓋然性を利用した計画であり、ライトで目をくらませ、転倒させる予定だったが、現場にいた杉下と冠城に発見されてしまう。
計画は未遂に終わり、さらには人違いであると判明する。杉下は、星野の正体を突き止め、天体観測所に完全犯罪などありえないと忠告しにいく。
星野は、若月に高校時代の事故が星野のせいであると言われ、恐喝されていた。物理研究部の実験中の事故であり、塩酸と硫酸の取り違えにより、部長の女子生徒が死亡していた。
星野には、その取り違えの犯人が自分であるという脅迫状が届き、17回忌に出席するよう指示されていた。同じく出席していた若月に再会し、そこから恐喝されるようになったのだった。
星野は次に、若月をビルの屋上に呼び出し、感電死させようとした。だが、指定するビルを間違え、さらには杉下に感づかれ、やはり失敗に終わる。
杉下は、亡くなった女生徒の実験ノートを読み、塩酸と硫酸の取り違え事故の責任が、星野か若月のいずれかにあることが判明する。
星野は再び金を要求され、第三の計画を実行する。金属の階段を腐食させ、若月を落下死させようとしたのだった。若月を呼び出した後、彼は階段で頭を打って死亡する。
だが、星野は殺人により、良心の呵責に耐えきれず、自殺を図るのだが冠城に止められる。そこで杉下は、星野に「あなたは誰も殺していない」というのだった。
脅迫状を送ったのも、若月を階段から突き落としたのも、物理研究部顧問の三田だった。三田と女子生徒は恋愛関係にあり、彼は事故の責任が若月か星野にあることを突き止め、二人に脅迫状を送ったのだった。結果、若月が悪びれもせず星野を恐喝していることから、若月こそが犯人であると気づく。
三田は若月を問い詰め、事故の責任を認めさせた上で階段から突き落とすのだった。三田は逮捕され、星野は起訴猶予となった。だが、星野は研究所から解雇され、留学の話も立ち消えとなった。だが、彼には婚約者がおり、彼女だけは彼のもとから去ることはなかった。