「食べ過ぎた男」前半部分(ネタバレなし)
大木研一(草刈正雄)と妻の由子(高島礼子)は、娘を連れて食事に出かける。そこで研一は、満腹になるまで食べる。だが、娘の残した料理を食べると、雪山のフラッシュバックとともに耳鳴りがした後に激しい空腹感に襲われて、再び貪るように料理を食べ始める。
家に返ってからも、耳鳴りと雪山のフラッシュバックが研一を襲う。そんなある日、研一は大切な取引先との接待で、上司とともに有名な高級レストランへ食事に行くことになる。その上司とは「登山」という共通の趣味があった。
その接待の最中、研一は再び耳鳴りがし、「雪山で頭から血を流す上司」のフラッシュバックに襲われ、狂ったように肉を食べ始める。その様子に取引先は怒り出し、帰ってしまう。研一は上司が制止するのも聞かず、肉を貪り続ける。
雪山、頭から血を流す上司のフラッシュバック。そして異常な空腹…研一の身に果たしてどのようなことが起きているのでしょうか。
「食べ過ぎた男」後半部分(ネタバレあり、結末まで)
研一は、家で泣いている妻・由子の姿を見る。「あなただけが頼りなのよ。お願い、行かないで…」と泣く由子を見て、研一ははっと我に返ったような表情になる。
再び雪山のフラッシュバックに襲われ、研一はテーブルの上にあった果物やケーキを貪る。研一は意識を失い、テーブルの上で倒れる。
そんな中、インターホンが鳴る。「会社から連絡がありました。病院へお連れするようにと」と男性の声がする。研一はハイヤーに自ら乗るのだが、車内から振り返ると、そこには喪服姿の由子がいた。
研一は病院へと連れて行かれ、そこで検査を受ける。病院を抜け出して食料を探し回る研一は、ピザを配達するバイクからピザを盗んで貪り食う。だが、全く味はせず、「冷たい」感触しかなかった。
研一は、雪山で雪を食べている自分に気づく。二人はロープが切れて滑落し、同行していた上司は頭を打ってすでに死亡していた。研一もまた、妻子のことを思いながら事切れるのだった。
現実世界だと思っていたのは、雪山で危機的状況になっていた時の幻覚でした。食べ物を貪る草刈正雄さんの演技は鬼気迫るものがあり、必見です。
なお、砂漠で遭難した男を描いた椎名桔平さん主演の『のどが渇く』もあります。
「食べすぎた男」制作情報
・脚本：植竹英次
・演出：落合正幸
