神代広平(福山雅治)は、営業前のライヴハウス『S』に佐野さくら(藤原さくら)を連れて行く。「3週間後、ここで君は歌う」と言い、ライブに向けての練習をする。客はいないが、初めてステージに立つさくらは緊張して上手く歌い出せない。
神代は、世間話や出身地の話題で緊張をほぐそうとする。「どうして広島を出てきたの?」と言われ、さくらは「大好きな親友がいるから」と答える。話の流れで、「親御さんを呼んだら?」と神代は言うが、「母親は癌で死んだ。それで施設に。父親は知らない」とさくらは言う。
「練習をしようか」と、神代がマイクのセッティングをする中、さくらは「先生は、結婚してないの?彼女は?」と訊くが、神代にクライアントから電話が入る。電話を済ませた神代が戻ると、さくらはギターを弾きつつ歌っていた。
神代は、拍手をしつつ「うん、声出てるね」と褒める。さくらは恥ずかしそうに微笑む。中村真美(夏帆)は、野村健太(駿河太郎)と結婚指輪を探してる最中、楽しそうに神代と歩くさくらを見て驚く。
アパートに帰ったさくらは、真美に神代について訊かれ、「今度、一緒にライブで歌う。真美も結婚して子供ができるから、私も何かを見つけないと」と答える。その前向きな姿勢に、真美は嬉しくなる。一方、遊びに来ていた天野空一(菅田将暉)は、興味なさそうにしているものの、さくらのことが気になって仕方がないようだった。
神代は、宍戸夏希(水野美紀)に、さくらとの関係について、「クライアントとの距離感を考えた方が良いよ。そうじゃないと、陽性転移(恋愛感情を持たれる)されちゃうよ」と忠告する。
さくらと神代は、練習を重ねる。一方、さくらは宍戸のクリニックを訪れ、吃音の治療を行っていた。その中で、夏希は「神代先生のことを好きになるのは、自然な気持ちよ。神代先生がさくらちゃんに優しくするのは、クライアントだからなの。でも、大丈夫。その気持ちは自然と消えるから大丈夫。そうじゃないと、神代先生が迷惑だから」と釘を刺す。だが、さくらは「私、中年より若い人が好きだから」と誤魔化す。
『S』で、緊張するさくらに、笹裕司(宇崎竜童)は「そういう時はさ、聴いて欲しい人のことだけを考えれば良い。好きなヤツのことだけとかさ」と言う。
空一に「心理療法士に乗せられてるだけじゃねぇの?自己紹介とかどうすんの?」と言われるが、さくらの歌う意思は変わらなかった。神代とさくらが仲の良い様子に、空一は面白くなく、反発する。
さくらは、夏希と神代が同居していることを知り、2人の関係を勘違いする。神代も合流し、歌の練習を行うが、さくらはどこか上の空で声をだすことができない。神代と夏希がセッションしているのを聴き、さくらは複雑な感情を抱く。
神代に促されるが、さくらは歌うことができない。神代は、「どうした?…俺たち、盛り上がり過ぎちゃったよね」と笑う。さくらは、「感動しちゃって…」と誤魔化すが、上手く笑うことができなかった。
ついにライブ当日を迎え、さくらはナーバスになっていた。ライブハウスには、夏美ら多くの人が詰めかける。さくらは、神代を「ちょっといいですか?」と呼び出す。そこで、「優しいですよね、先生。陽性転移しちゃいますよ」と言い、神代は驚く。
「このままでは、歌える気がしない」と言うさくらに、「やっぱり、やめようか?」と神代は言う。だが、さくらは「私は歌いたい。先生のことを思って歌っても良いですか?それで歌えれば、次に進める気がする…もう、ギター弾いて欲しいとか言わないんで、最後にするから」と言う。
そんなさくらの言葉に、神代は「じゃあ、今夜は君のことだけを思って弾こうか」と言う。ステージに立ったさくらは、荒井由実『やさしさに包まれたなら』、LOVE PSYCHEDELICO『Your Song』、Janis Joplin『Summer time』などを堂々と楽しげに歌う。そして、「ご清聴、誠にありがとうございます」と、たどたどしく言うさくらに、神代はメロディをつけ、節をつけて話すように促す。
最後に、さくらは大好きな曲である『500マイル』を歌う。その歌声に、空一は思わず涙を流す。見事に歌いきり、スタンディングオベーションを受ける。「もう一曲、歌いたい」と言うさくらだったが、神代は1人でステージを下りてしまう。
さくらは歌うことができず、トイレに駆け込む。そこで彼女は泣いていた。夏美らに「アンコール、やってあげれば良かったのに」と言われ、神代は「未練がましいだろ。もう今日で俺は引退」と言う。
「もう、いい加減、ケリをつけようと思って。今夜のステージの前に決めてたんだ」と言う。
一方、ライブハウスにいた音楽プロモーション会社の制作部部長である水原亜矢(りょう)は、収穫があったと社長に報告する。