背景・設定
高校受験に失敗し、希望の高校に入学できなかった宿海仁太。彼は、入学式以来、ろくに登校しておらず、引きこもりの状態となっていた。そんな仁太の元へ、小学生の時に川へ転落して亡くなったはずの本間芽衣子が現れる。
仁太は、芽衣子から「お願いを叶えて欲しい」と頼まれ、小学生の時に一緒に遊んでいた「超平和バスターズ」の安城鳴子、松雪集(あつむ)、鶴見知利子、久川鉄道らと久しぶりに再会し、芽衣子が成仏するための「お願い」を叶えるべく奮闘する。
だが、彼らには芽衣子の死に対するそれぞれの思いや、思惑があるのだった。
登場人物
宿海仁太(じんたん):小学生の時は快活で、リーダー的な存在であったが、芽衣子の死や母の死などが影を落とすこととなった。さらに、高校受験で失敗してしまい、入学式以降、学校に行かなくなってしまい、引きこもり状態となる。
そんな折に死んだはずの芽衣子が現れる。芽衣子のことが好きであったが、みんなの前で安城鳴子に「芽衣子のこと、好きなんでしょ?」と言われ、つい逆のことを言ってしまい、まもなく亡くなってしまった芽衣子に謝れなかったことを後悔していた。
本間芽衣子(めんま):小学生の時に水難事故で亡くなり、その後、仁太以外に見ることができない幽霊として仁太の前に現れる。そんな彼女には、「お願い」があり、仁太に叶えて欲しいと頼む。仁太に好意を寄せている。
安城鳴子(あなる):仁太と同じ、市立緑ヶ丘高校に通う同級生である。仁太に好意を持っており、仁太に「めんまのこと、好きなの?」と訊いて、仁太の本音を聞こうとする。結果、仁太は「好きじゃねぇよ、あんなブス!」などと思っていることを反対のことを言って走りだしてしまう。
再び現れた芽衣子に戸惑い、改めて仁太への好意を再確認し、一方、仁太は芽衣子に好意を持っていることに嫉妬ややるせなさを感じる。
松雪集(ゆきあつ):仁太の第1志望だった、進学校である王大付属高校に通っている高校生。芽衣子のことが好きであり、そのことを芽衣子に伝えるも、暗に仁太の方が好きであると言われてしまう。それからずっと芽衣子のことを忘れられず、芽衣子の髪に似たウィッグや、芽衣子が着ていた白のワンピースを購入し、自ら芽衣子の扮装を行っていた。
仁太に対してコンプレックスや対抗心を抱いており、「芽衣子が現れた」との言葉に怒りを感じる。
鶴見知利子(つるこ):松雪と同じ高校に通う女子高生。松雪に幼い頃から好意を抱いており、一方で松雪が好意を寄せている芽衣子や、松雪と仲の良い安城鳴子に対し、嫉妬を覚えていた。だが、松雪への好意はひた隠しにしており、松雪は気づいていなかった。
久川鉄道(ぽっぽ):高校には進学せず、アルバイトに勤しんで世界中を旅している。実は芽衣子が水難事故で衰弱していく姿を見てしまっており、怖くなり、その場から立ち去ってしまったことを後悔している。何度となく生まれ育った地を離れようとしていたが、芽衣子のことを思い出して、この地に戻ってきてしまうのだという。
あらすじ
1) 高校受験に失敗し、希望の高校に入学できなかった宿海仁太。彼は、入学式以来、ろくに登校しておらず、引きこもりの状態となっていた。そんな仁太の元へ、小学生の時に川へ転落して亡くなったはずの本間芽衣子が現れる。
2) 芽衣子は、仁太に「お願いを叶えて欲しい」と頼む。そこで仁太は、安城鳴子、久川鉄道、松雪集、鶴見知利子らと再会し、芽衣子自身も忘れてしまったという「お願い」が何なのか、どう叶えるべきなのかを模索していく。
3) 当初は仁太の言葉を信用せず、芽衣子が再び現れたことを信じていなかった安城鳴子、松雪集、鶴見知利子だったが、次第に芽衣子の存在を信じるようになる。
4) 芽衣子の母から、芽衣子の日記を借り、そこに書かれていた内容から、芽衣子の願いが「入院していた仁太の母親のために、巨大なロケット花火を打ち上げることだ」と考える。その花火を上げるため、仁太は疲労で倒れるほどアルバイトに打ち込むのだった。
5) そんな中、花火打ち上げが間近に迫る中、仁太は次第に「芽衣子に消えて欲しくない」と願うようになる。その思いから、芽衣子の前で泣いてしまい、とっさに「フランダースの犬を思い出して…」とウソをつく。
6) 花火打ち上げの前日、芽衣子を送り出すため、お別れパーティーを開く。そこで、松雪は「あの日の再現を行おう」と言い出す。安城鳴子が「めんま(芽衣子)のこと、どう思ってるの?」と訊くと、仁太は過去のようにではなく、「好きだ」と答えるのだった。その告白を聞いて、芽衣子は声もなく泣く。そして、「生まれ変わって、仁太のお嫁さんになる」と成仏するつもりであると仁太に告げる。
7) ついに花火が打ち上がった瞬間、仁太は思わず「芽衣子に成仏して欲しくない、花火の打ち上げを中止したい」と思ってしまう。だが、既に導火線に火が付けられ、花火は上がる。だが、芽衣子は成仏しなかった。
8) 芽衣子は、自らが消えていくのを感じていた。そして、仁太に叶えて欲しい願いが、仁太の病死した母親と約束した、「母親が病気で入院し、感情を押し殺すようになった仁太に再び泣いてもらう」ということだったと悟るのだった。
9) 仲間との話し合いの後、帰ってきた仁太は、芽衣子が弱っているのを感じる。そして、そんな芽衣子から、「お願い」が何なのかを知る。だが、仁太は、まだ仲間とのお別れをしていない芽衣子を背負い、仲間の元へと向かう。
10) 仁太もまた芽衣子の姿が見えなくなり、仁太は仲間とともに芽衣子を探し回る。そん中、芽衣子は秘密基地で日記帳に、仲間それぞれに手紙を書く。その手紙を仲間たちへ渡し、成仏する直前、仁太たちに再び姿を見つけられるのだった。お互いに別れを告げ、芽衣子は姿を消すのだった。