会社員の沢木聡美(松嶋菜々子)は、マンションを購入する。割安で購入できて喜ぶ聡美だったが、「ゴミ出し」の一件で話は変わってきてしまう。
燃えないゴミの日が土曜日と変更されたにも関わらず、聡美はこっそりとゴミ捨て場にゴミを出した。すると、そのゴミは張り紙つきで部屋の前に戻されていた。
また、夜間に音楽を聴いていたところ、騒音の苦情を隣人・横山から直接言われる。「フロアの責任者で、問題があれば自分のところに苦情が回ってくる。そう管理人と取り決められている」と告げられ、管理人との取り決めは「委任状」にサインしたため、守らなければならないと通達される。
さらに、複数の住人から次々に騒音の電話がかかってきて、「管理人との取り決めを守りなさい」と一方的に言って切る…ということが繰り返され、朝まで電話は鳴り続けた。聡美は、管理人が住人を操り、組織的な嫌がらせをしていると考える。
また、ゴミの分別ができていないと、管理人からの張り紙つきでゴミが部屋の前に戻される。さらには、夜の10時を過ぎるとシャワーも浴びることが禁じられており、勝手にお湯を止められてしまう。そのことにとうとう我慢ならなくなった聡美は、管理人室へと文句を言いに行く。
管理人室をノックするも、管理人は出てこなかった。部屋に戻ると、FAXが延々と流れ続け、クレームの電話も鳴り続ける。そのことで、上司からの電話・FAXを受けることができず、ついには仕事への影響も出始めてしまう。
管理人室に再び出向くが、やはり出てこない。だが、他の住民は「いつもその部屋にいて、今朝もみんなに挨拶してたでしょ」と言うのだった。規則を守らせようとする住民のクレームや対応はエスカレートし、飼っていたハムスターを勝手に捨てられる、干していた洗濯物を勝手に取り込まれるといったことまでされてしまう。
聡美は追い詰められ、仕事も手につかない。なんとかして管理人に会おうとするが、管理人室は閉ざされたままだった。
マンションの住人たちに取り囲まれた聡美は、「管理人なんか最初からいない!誰が命令して嫌がらせをしてたの?」と叫ぶ。その中に、横山の姿を見た聡美は、「首謀者はあなただったの?あなたが嫌がらせをしてたんでしょ!」と言い、「管理人をここに連れてきなさい!」と言う。
逃げる横山を聡美は追うのだが、その途中、階段を下りる中で転倒して横山は死亡してしまう。「これであなたたちの管理人はいなくなったわ!」と聡美は勝ち誇る。
聡美は寝ようとするが、上の階の部屋から音楽が流れてくる。その部屋の住人は引っ越したばかりのようだ。聡美はその部屋の住人に電話をかけ、「このマンションは夜10時以降は音楽を聴いてはいけない。管理人との取り決めでそう決まっている」と告げる。聡美は、かつて自分がされたことを同様に新たな住人に行い、満足そうに笑って眠りにつくのだった。
原作:山田正紀『まだ名もない悪夢』
脚本:大石哲也
演出:松田秀知