元市議会議員の妻である私(永作博美)は、夫(滝藤賢一)の暴力から娘を守ろうと抵抗し、夫を撲殺してしまう。刑事に「どうして二度殴ったんだ?」と訊かれ、「私は夫を憎んでいたのだろうか」と思う。
何不自由なく暮らしているかのように見えたが、夫が市議から鞍変えで県会議員選挙に落選してしまい、全てが変わってしまった。DVを日常的に受けるようになったのだった。
「私」は、中学時代のことを回想する。中学時代、堀端という内気な女性が、いじめを受けていた。そんな彼女を庇い、高坂という女生徒は敢然と教師にも注意を行う。高坂は、羨望の的である、誰から見ても対照的な2人だった。
逮捕され、勾留・取り調べを受ける中、「私」は、鼓膜破裂や頭部裂傷、歯が抜けるほど殴られていたことで、「夫を憎んでいたのではないか」と刑事に追求される。
高坂は、堀端に「読書感想文コンクールは、あなたが出るべきよ」と勧める。堀端は、教師から「皆の前で読書感想文を読み上げることは無理だろう。断るだろうから、高坂にでもやらせるか」と言われており、それを聞いた高坂は、「一番素晴らしい読書感想文を書いた、あなたが出るべきよ」と言うのだった。
堀端がその勧めを辞退しようとするが、「あなたの練習に付き合う。もし一生懸命頑張った後に笑うような人がいれば、私が責任をもって謝らせる」と言い、なおも読書感想文コンクールに出場させようとする。堀端は、ついに根負けして、出場することにし、代表に選ばれる。
「私」は、惨めだった堀端の姿を自分に重ね、「あれは今の私だ」と思う。「私」は、娘を奪われ、義母の娘として育てられという話が進めらてしまう。話を進める弁護士に、「あなたには、子供を持つ資格はない」とまで言われてしまう。
堀端は、高坂の指導により、『走れメロス』の感想文の朗読がめきめきと上達する。
警察とともに自宅に戻り、実況見分が行われる。夫から殴られ、首を絞められているところ、娘がやってきてしまい、娘に危害を加えられると思い、トロフィーで殴ったのだった。実況見分が行われた晩、事件当夜の記憶が蘇り、「私」はパニックになる。
中学時代、堀端は、同級生の持ってきたムーンストーンのアクセサリーが、自分の分までないことを悟り、席を外す。それを見ていた高坂は、イヤリングをもらい、1つずつ名札につけて、堀端と分け合う。「何をお願いしたの?」と訊く高坂に、堀端は「まだ言わない」と秘密にしていた。
「私」のもとへ、事件のニュースを見た女性弁護士(檀れい)がやってくる。
読書感想文のコンクール当日、高坂は舞台裏で堀端に付きそう。そこで、高坂は、「失敗してもいいよ。ここまで一生懸命頑張ってきたから」と励ます。雷鳴が鳴り響く中、高坂は「雷は、神の怒りだと言われてるわ。その怒りは、あなたをバカにして尊重しない人々への怒りだわ」「あなたは、救われるべき人間なの。だから、戦いなさい」と言ってステージへと送り出す。
「私」の新しい弁護人は、中学時代の同級生だった。勾留されていたのは高坂、弁護人は堀端だった。弁護士バッジの横には、ムーンストーンが今も付けられていた。堀端は、「あなたといつか親友になれたら…それが私の願い」と、ムーンストーンに願った夢を語るのだった。
高坂は、「私は夫を殺した。それだけじゃない、娘から父親を奪った。私は、罰せられるべき人間だから」と言うが、堀端弁護士は「人の犯す最大の罪は、人の尊厳をおかすこと、それをあなたは私に教えてくれた。戦いなさい。あなたは、長らく戦うことを忘れていた。それを思い出したのが、娘を守ろうとした時。あきらめないで。それとも、娘さんと二度と会えなくてもいいの?」と、一緒に戦おうと励ます。
「親友とは、命をかけて守りたいと思う人のことだと思う。友よ、この命をかけて戦おう」という堀端の読書感想文の一節が、2人の脳裏に蘇っていた。
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